ライトノベルって何?

 ライトノベルとは何か? その定義は?
 雑誌とか評論家が、いろいろな場所でいろいろな説を披露してるけど、私の中では定義は簡単だ。

「表紙買いさせるのがライトノベル

 ライトノベル以外の小説を買う時、何を基準にするだろう。口コミ、雑誌などの媒体、あるいは作者買いをすることもあるだろう(横山秀夫とか東野圭吾とか)。でも、発売されたばかりの新人の作品だったら? 口コミもなく、作者の評判もわからない。
 あらすじを見たり冒頭を読んでみるという人もいるかもしれないが、少なくとも私は、書店の店頭では冒頭10ページも読めない。

 そういう時、たぶん普通の本ならスルーされてしまうのだと思うが、そこで「表紙の絵柄、あるいは口絵の絵柄で買う」という選択肢が生まれるのが、少なくとも私の中でのライトノベルの定義である。
 私自身(下手でも)文章は書く習慣があるが、絵はまったく描けないというのがコンプレックスになっているのかもしれない。

 一枚の美麗なイラストは、千の言葉の与えるインパクトに勝る。

 もちろん、絵ではなく文章の方が伝わる場合もあるが、絵の方が優れている場面も確実に存在する。特に、私自身の頭の中に情景があって、うまく言葉として表現できない時、下手な文章しか書けない人間としても絵を描けない人間としても歯がゆさを感じる。

 それは、必ずしも人物の絵ばかりとは限らずこんなのも該当するかもしれない。

(これはスターウォーズに使われたマットペイント、元サイトが消滅しているためリンクはなしで)


 それでもライトノベルのイラストに登場人物のそれが多いのは、やはり登場人物のビジュアルイメージが一番読者に訴求するからなんだろう。
 つまり、文章に足りないものを補うのに読者の想像力だけでなく、イラストの持つビジュアルイメージに頼るのがライトノベルだと、私自身は思っている。

 言い方を変えると、私にとってのライトノベルは、ビックリマンチョコレートのおまけのシールのようなものかもしれない。あくまでもそれはチョコレート(文章)がメインなのだけど、おまけ(イラスト)目当てでも買うこともある。


 翻って、メディアワークス文庫の話。
 メディアワークス文庫は明らかに、ビジュアルイメージに訴求しない。つまり、他の出版社でもよくある普通の文庫である。

 でも、それって今結構苦戦してるんじゃないの? 出版業界って今かなり大変なんだよね? ライトノベルの利点を一つなくして、売れるのかなあ?

 というのが、メディアワークス文庫を見ての率直な感想だった。

 言うまでもないが、「今までライトノベル、あるいはそれに近いものを読んできた読者層で、高校生を主人公にした恋愛物以外の話が読みたい人」で、かつライトノベルのようにビジュアルに偏った本を読みたい人、というのは、私のことだ。

 黒岩よしひろさんの「自分の昔の原稿を売りたい、漫画は嫌だ、小説を書きたい」というブログがちょっと前に話題になっていたけど、絵が描けない私のような人間には絵の描ける人は羨ましい。ただ、漫画だと描くのに時間がかかりすぎて自分の表現したいストーリーを追いきれないかもしれない(黒岩さんの真意はむしろ表現のスピードより編集者との確執とかそういうところにありそうだが)。

 目から鱗が落ちたのがこれ。

 この作品は、作者自ら挿絵も描いている。これならイラストレーターと作者の行き違いでキャラクターのイメージが変わってしまうこともないし、漫画そのものを描くよりかなり速いスピードでストーリーを書ける。もし自分でイラストを入れる箇所まで指定できるのなら、文章で表現しきれないと思った部分をイラストでフォローできるのだから万々歳だ。

 …ただ、これ出版者からみると、本文の執筆と挿絵の執筆が同時に進まないからスケジュール的には辛いのかな…。