10フィートの棒

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シャッコウさん『迷宮探索といえば、TRPG派にとっては「10フィートの棒」が欠かせませんなので「10フィートの棒型タッチペン」』
タッチペンの希望は数あれど、10フィートの棒型というステキなアイデアはシャッコウさんだけでした。
そして、それにグッとくるのは、自分と開発スタッフの垣内くらいでしょう。…製品化されると嬉しいですね。


 懐かしいな、10フィートの棒。長さ10フィートの棒って、実は口プロレス用のアイテムなんだよね。

 『「長さ10フィートの棒」を持っていれば以下の種類の罠にはかからない』とルールブックに明記されているゲームは、私の知る限りない。アイテムリストに長さ10フィートの棒を記載した初めてのルールブックであるクラシックダンジョンズアンドドラゴンズでは、ルールブックにこの棒の使い方が詳しく書いていなかった。シーフのファインドトラップやリムーブトラップなどといった能力は棒がなくても使用できるため、当時DMだった私はこの棒は何に使うものなのか頭をひねった覚えがある。
 その後冒険者ガイドみたいな本があちこちから出版され、初めて「ああ、これは進行方向の床などの危険を感知するために使うものなんだ」と理解した次第である。
 しかし。
 踏むと落ちるタイプの罠の場合「重さ20キロ以上の物が上に乗らないと動作しない仕掛けだ」とDMが強弁した場合、棒は役に立たない。また、あらかじめ開いている穴の底を調べるような場合は、深さ10フィートを越える穴だったらやはり意味がない。触れると作動する罠だと、矢が飛び出すとか毒液や酸を噴射する罠だと棒でつついて発動させた場合でも回避できないこともある(DM判断になるだろう)。
 罠感知でなく、反応して襲ってくるような原始的なモンスターがいるかどうか確認する場合も同じだ。突っ込んだ棒にモンスターが反応してもサプライズアタックされることはあり得る(ルールブックには明記されていないのでやはりDM判断)。自分の経験で言えば、棒の先に手鏡をつけて通路の先を確認しようとしたら、感知されたコカトリスに突撃されて、石にされそうになったことがある。
 要するに、棒がどれだけ役に立つかはDM判断であり、プレイヤーとのやり取り次第=口プロレス用、となるわけだ。

 ちなみに、私が作るシナリオでは棒はほとんど役に立たなかった。ダンジョンシナリオが元々少ないこともあるが、作成したダンジョンが「誰かの屋敷」だったり「知的なデミヒューマンがダンジョン内を日常的に行き来する状況」だったりして、棒で感知できるような誤作動を起こしやすい罠を仕掛けにくかったからだ。突っ込まれた棒に反応するような原始的なモンスターもほとんど登場しない。必然、プレイヤーも棒を持ち歩く機会はほとんどなかった。

 あともう一つ。これは当時から純粋に疑問だったんだけど、その長さ10フィートの棒は、誰が持てばいいんだろうか?
 少なくとも私の場合、クラシックD&Dでは最前列はファイター*2かファイター&シーフ、あるいはファイター&クレリックだった。このうちファイターとクレリックは剣やメイスと盾を持つため両手がふさがっている。シーフは盾が装備できないから片手が開いているが、その片手にはランタンかたいまつを持っていることがほとんどだった。
 つまり棒を持つ人がいないのだ。
 マジックユーザーにランタンを持たせてシーフが棒を持っていたんだろうか。でも、それだと呪文使うたびにランタンを落とさないといけなくなる気がするんだが…。