天羅にまつわるちょっとした話

 昨日のアリアンロッドの話に続いて、アルシャードガイアのキャラクタークラスの話をしようと思ったけど、このところ長文続きで重いので、今日は軽い話でも。

 今度「クロッシングポイント」というサプリメントも発売されるFEAR・SRSシリーズの異端児「天羅WAR」。このゲームでキャラクター作成を行うにあたり、何をおいても絶対に、最優先して習得するべきスキルがある。

 その前に。天羅WARの特徴を説明しておこう。天羅WARは旧作「天羅万象」と「テラ・ザ・ガンスリンガー」の後継作にあたり、SRSの書式にのっとっていながら前作にあった「業システム」と呼ばれるシステムが改良されて搭載されている。

 業システムとは、乱暴に簡単にいってしまえば「ゲーム中にカッコいい台詞を吐いたり、カッコいいロールプレイをすることによって気合というボーナスポイントを入手し、それを使って判定を有利にすることができるシステム」である。
 逆にいえば「天羅WARの判定で高い数値を出すためには、煮えた台詞や厨二病ロールプレイを繰り返して一生懸命ポイントをためないといけない」ということでもある(そここそが天羅WARの一番面白いところでもあるのだが)。
 しかし、何時間ものセッションで必死になってロールプレイし、カッコいい台詞を吐きまくってためたポイントが、一回のダイスロールで露と消えてしまうとしたら…?

 旧作はそうではなかったのだが、天羅WARではファンブル、つまり2D6を振って2が出ると、どんなにボーナスを入れた判定でも必ず達成値はゼロになる。つまり失敗だ。

 「2D6で1ゾロなんてそんなに出ないだろう」と思っている天羅WARプレイヤーのそこのあなた。試しに計算してみよう。

 あなたは一回のセッションで気合を使った判定を何回するだろう? 1回? 普段の判定には気合は使わないにしても、1回はちょっと少ない気がする。クライマックスフェイズに限定したとして、プレイヤーの人数や敵の数にもよるが2、3回判定することも多いのではないだろうか? 仮に2回としよう。
 そのセッションはキャンペーンだろうか。キャンペーンは全何話だろう? 5話? 6話? 天羅だと10話は多いかもしれない。5話としておこう。
 そのセッションには何人のプレイヤーが参加しているだろう? FEARのゲームだと、4人か5人であることが多いはずだ。ここでは4人としておく。

 では、全5話のキャンペーン中、セッションに参加する4人のプレイヤーのうち誰か一人が、気合を使用した肝心要の判定2回のうち1度でもファンブルを出す可能性は…。

1−(35/36の2乗の5乗の4乗)=約67.6%である。

 お分かりだろうか。あなたが一生懸命ためた気合が消えてなくなってしまう可能性は、決して低くない。

 しかしご安心を。そんなあなたのためのスキルがここにある。
 一般特技《幸運》だ。これは1セッションに1回、判定を振り直せる特技である。ぶっちゃけ、ファンブルでさえなければ、3でも4でもいいのだ。どうせ達成値は気合によるボーナスで引っ張るのだから、ファンブルでゼロにさえならなければ、あとはなんとかなる。
 ちなみに、振り直してももう一回ファンブルが出る可能性もあるが、それはさらに36分の1の確率、つまり上の例でいえば2%弱にまで減少する。

 もし、あなたがあえて「ダイスでファンブルを出して気合が消えるというのはそれはそれで面白い、それこそがダイスロールの妙味」というのであれば、それはそれでよいと思う(確かに、身の回りでやっちゃった人の話を聞くとたいてい泣きながら爆笑していた)。しかし、そうでないのであれば、《幸運》は必須といってもよい。

 実は、《幸運》だけでなく、天羅WARの一般特技には高コストパフォーマンスのものが目白押しだ。情報収集等でダイスを3つ振れるようになる《学識》や《超感知》、《無縁の者》など…ちょっとレベルが上がれば次のレベルに必要な経験点が簡単に100点を越える天羅WARの世界で、一般特技の習得に必要な経験点はたったの5点。しかも前提条件も習得数制限もなく、ノーリスクである。今まで自分のクラスの特技表とにらめっこしていた方は、一度一般特技表を眺めてみるのも面白いのではないだろうか。


天羅WAR (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

天羅WAR (ログインテーブルトークRPGシリーズ)