
クリスタニアRPG (fukkan .com―ブッキングTRPGシリーズ)
- 作者: 水野良,グループSNE
- 出版社/メーカー: ブッキング
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 単行本
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ロードス島を逃れたマーモ帝国の生き残りが新天地で作り上げたのがベルディア帝国である。
ベルディア帝国は悪役である。位置はクリスタニア大陸の(西に近い)北西である。
ベルド皇帝の個人的なカリスマに率いられる帝国だったマーモ帝国と同様、ベルディア帝国も漂流王の個人的なカリスマによる帝国である。しかし、帝国として成立し、存在している期間の長さで言えばこちらの方が遥かに長い。しかも漂流王は不死であり、永遠に君臨しつづける存在だ(彼は皇帝と名乗ってはいないが、なぜか国の呼称は「帝国」)。
クリスタニアにはダナーンしか王国がないため、ベルディアがどこを滅ぼしたとか征服したという、地図の上でのわかりやすい目印はない。だが、やはりその版図は決して広くはない。
マーモもベルディアも、人口の割に征服欲が強い、というか外征せざるを得ないのには理由がある。妖魔の繁殖力が強すぎて、戦争で数を減らすか増えた数を養う領土がないと、国家が内部崩壊を起こしてしまうのだ(ベルディアは最後に妖魔王と決別してこのジレンマを解決したが)。
ベルディア帝国はいわばマーモ帝国の改良版である。マーモ帝国の勢力が敵として登場しても、それはダンジョン内部にいるゴブリンやコボルド、あるいはダークエルフと同じでしかなかった。仮にマーモの騎士が敵になっても、PCの騎士と同じデータしか持っていない。遭遇した瞬間「こいつはヤベえ!」という危険を肌で感じさせる、わかりやすい強さがないのだ。
しかし、ベルディア帝国にはわかりやすい記号がある。猛虎の民のタレント(特殊能力)である。
PCもタレントそのものは使えるものの、猛虎の民のタレントは破格に強い。人間の姿のままで通常武器を無効にする「インヴァルネラビティ」、短距離をワープできる「リープ」等々…。実際猛虎の民をPCにするキャンペーンもプレイしたことがあるが、強かった。
私はフォーセリアサーガではクリスタニアが一番好きだが、その魅力の一つがこの「ビーストマスターのタレント」である。悪役のタレントは強い、というのはシンプルでわかりやすい。
作品の展開が終わってしまったのが残念である。