Phantom of Ellie


 昨日ご紹介した動画のネタバラシである(あるいは無粋な解説ともいう)。
 まずこの動画を理解するには、DS版に登場する876プロのアイドル、水谷絵理の持ち歌が「プリコグ」であるということを知っている必要がある。
 
 この動画を(コメ消しで)見た時、最初に疑問に思うのは「この主人公の女の子は誰だ?」ということだろう。途中で画面の向こう側で微笑んでいる女の子(主人公の憧れの対象)は絵理だ。では主人公は誰?
 答えを言ってしまうと、主人公もまた絵理である。

 プリコグ、というのは、トムクルーズの出演する映画「マイノリティ・レポート」にも登場するが「Precognition」つまり予知能力のことだ。
 ここで「プリコグ」の歌詞をご紹介しよう。


陽光(ひかり)を浴びて とろけるみたい
予知夢へと その向こう側へ抜けて

ずっと憧れた ずっと探してた
ずっと隠れてた胸の奥に
やっと開けてみた きっと知っていた
ちゃんとはじめから 決まってたと

溢れてこぼれ出した筐(はこ)の外
遠い昔の夢が虹色
風景 動き出す 関係 回りだす
不安定 片足上げてバランス

やっと分かり出す きっと巧くいく
そっとみていてね ボクらのこと
体ごと貫いたこの痛み
生まれ変われるよ今 ここから

陽光(ひかり)を浴びてとろけるみたい
予知夢へと その向こう側へと
弾けて消えた不安は捨てて
流れてく時間を置き去りにして


 つまり、この動画では絵理が未来の自分を予知し、未来の自分の姿をネットの中で見つけ、それに向かって一歩を踏み出すという「あったかもしれない出来事」が語られているのだ。


 私はこの手の「最後まで見ると、公式ストーリーのこの部分にこう繋がることが初めてわかる」という動画が大好物である。例えばこれ。



 最初からずっと見ていくと、ドタバタノンストップ・アクション動画に見えるのだが、最後半部に床屋に飛び込むシーンで知っている人は「ん? これはもしや?」と気づくという仕掛け。
 つまりこれである。



 美希が「覚醒美希」になるイベント、車に撥ねられそうになった美希を助けようとしてプロデューサーが怪我をし、それをきっかけに美希が奮起するというイベントの「裏側で起きたかもしれない出来事」を描いている。美希のイベントには彼女自身しか登場しないが、この動画では美希の一大決心を他のアイドル達が総出で応援しているというのがポイント高い。
 タイトルの「これで最後の大遅刻」というのは「それまでだらしなかった美希がこれをきっかけに俄然頑張り始めるので遅刻しなくなる。だから『遅刻はこれで最後』だ」という意味が込められている。

 それと、この動画にはSP版の響と貴音様がゲスト出演している。美希をさらおうとするお邪魔虫の961プロのエージェントを妨害して、美希を応援する姿が描かれている(つまり765プロに移籍した後の出来事という設定だ)。


 また、この動画もほのぼのした雰囲気だけど、公式ストーリーの裏側を見せる、あるいは補完する物語として一見の価値がある。



 この動画は少々長いが、最後まで見ると「どうして響のペットはあんなにしょっちゅう逃げ出すのか」という公式の「謎」に、作者なりの(蓬莱的に言えばエレガントな)解答を出している。また、ハムスター視点の物語を公式コミュの物語へと繋いでいくやり方が絶妙だ。