アルシャードRPGでは、へそ曲がりが依頼を断ることもない。なぜならそれもまたアクトトレーラーとハンドアウトに明記されているからだ。それでもなお依頼を断るというプレイヤーがいたら、それはルールを無視しているかコミュニケーション不全の人間か、あるいはその両方だ。
つまり、いろいろな意味で高見先生の友人の言っていることは「古くて、しかも間違っている」ことになる。一度滅びかけ、そこから不死鳥のように蘇った新世代のゲームは、そういった古い衣を脱ぎ去った。かつての悩みはもはや過去であり、今や無縁のものだ。
しかし、である。
これを説明するのは非常に辛い。例えば、先述の「TRPGを昔やっていて、今はもうやっていない」人に「4時間以内に必ずセッションを終えられるゲームがある」といっても、ほとんど誰も信用してくれない。昔のゲームは5時間6時間が当たり前、9時間なんていうこともざらであり、しかもセッションの終了時間は「予想がつかない」のが当然だったからだ。
だが、今は違う。私みたいにロクなマスタリングテクニックを持っていない人間でも、ゲームシステムと対象レベルさえ選ばせてもらえれば、4時間以内に終わるシナリオを作ることはさほど難しくない。それが今の「当たり前」だ。昔のゲームしか知らない人には、このことが感覚として理解しづらいのだ。
逆に高見先生の友人がいう「初心者」の方が、今のゲームのルールを素直に受け入れるため、セッションを上手く進める傾向が強い。セッションの害になるのは往々にして、昔を知っている「老害」プレイヤーだったりするのが実情だ。
そしてもちろん、そのことを一番身に染みて知っているのは、仕掛け人であった井上氏本人だろう。
かつてTRPGの危機に際し、それを乗り越えるために大役を果たした人間が、その事実を知らない人間と、知っている人間をネタに描いた四コマ。そのタイトルにつけられた「説明しづらい」という言葉の意味。
友人の言葉に乾いた笑いを漏らすのが精一杯の高見先生に共感し、この四コマに心底「ああ、そうだよね。あるある」と頷くあなたはきっと、かつて私と同じ一喜一憂を味わったことのある「戦友」だ。
なお、今回のエントリはかなり長くなってしまったが、これでもかなり削除している。私にとっては思いいれのある、ありすぎる題材だ。削除した内容についてはまた機会を改めて、考えを整理してから「TRPG冬の時代」というタイトルででもエントリにしたいと思う。