猫物語二作

 最近、本当に偶然タイミングが合っただけなのか、猫又を題材にしたコミックスが連続で2作発売された。


電撃大王 2010年 11月号 [雑誌]


 のりタマはイメージがなかったので雑誌で。


ネコあね。(1) (講談社コミックス)


 題材は一緒だけど、中身はかなり印象が違う。「のりタマ」も「ネコあね」も、ひょんなことから猫又になり、人間に変身できるようになった女の子と主人公の日常の交流を描いた物語、という点では一緒なんだけど、逆にいえばそこ以外共通点がない。


 のりタマの猫又「タマ」はどちらかというと、「人間の言葉が喋れる猫」というスタンスである。猫の言葉を主人公の女の子に翻訳してあげたりはするものの、行動原理は猫そのものだ。(恐らく)元々野良猫だったのだろうと思われる。逆に「人間の価値観を理解している猫又」らしき人物も登場するのだが……。
 なお、のりタマの作者はヘッドホン娘で有名なオオツカマヒロさん。HPはこちら。1話がウェブコミックこちらで試し読みできる。


 ネコあねの猫又「杏子」は「自分では、人間のように行動できると思っている猫」とでも言ったらいいだろうか。こちらは、言動は「猫っぽい人間」である。作中でも、主人公が友人に猫又を見られてしまい「猫のコスプレ好きだ」といってごまかそうとするシーンがある。そもそも、飼い猫だった杏子が主人公の姉になろうと頑張る、というのがこの作品の主題なので当たり前だが……。
 また、のりタマが女の子の主人公と猫又の女の子の交流を描いているため、サービスシーンどころか色気のいの字もない(おっちょこちょいの姉と手のかかる妹というイメージ)のに比べ、ネコあねは冒頭から数えるのが面倒になるくらいサービスシーンがある(シンプルな絵柄のせいか全然いやらしさは感じないが)。


 どっちも面白いかというのは甲乙つけがたいけれど、雰囲気は明らかに違う。のりタマの方はよつばとのように読者の目線が一歩引いている。ネコあねの方は主人公が男の子で学生ということもあって、明らかに主人公に感情移入することを前提に書かれており、わかりやすい。
 とりあえずのりタマの方は試し読みできるので、気に入ったら是非。











 ところで。どうやらのりタマには1巻時点で猫又が「3人」登場しているようだ。タマはもちろんのこと、物音に驚いて耳が飛び出したヤコ、そしてルカもだ。ルカはヤコについて「親戚みたいなもの」といっており、苗字も同じ、そして……最終ページの写真のヤコの左上に、帽子を被ったルカと思しき人物が写っている。
 ヤコの職業はなんだろう? 一室を占拠していたのは専用サーバだろう。読んでいる書籍には「ショットガン・シークエンスにおけるアライメントの精度向上に関する研究」と書かれているようだ。これはどうも生物学用語らしい。写真の「黒津生化学研究所(?)」という看板からすると、やはり生物工学の研究者ということになるのだろうか。だとすると、猫又という存在そのものの(つまり自分という存在の)根源を研究している……のかもしれない。単なる推測だが。