まったく懲りない、悪びれない

苦難の船出となった「FINAL FANTASY XIV」。開発/運営は問題をどう考え,今後どう対処するのか。24項目にわたるメールインタビューの回答を掲載

 
 とりあえず1点だけ評価するとすれば、今まで日本のいわゆる大手のメディアはFF14について肯定的な評価しか書いてこなかった。ネットではネガティブな評価が支配的だったにも関わらず、大手のメディアはそれらの声を黙殺してきた(せざるを得なかった)といってもいい。
 それが、4Gamersというそれなりにメジャーなサイトで、ここまで大きな形で否定的な意見を取り上げたこと、そしてそれに対して答えを返したことについては評価できる。


 ……逆にいえばそこ以外は評価すべきところはないとも言えるが……。


 何より納得行かなかったのは「バグ取りを優先したのでCBT、OBTで上がった不満点を解消できませんでした」という返答。それなら最初からテストする意味ないだろ。無料体験版でいいじゃない。「貴方たちの不満は聞きます、でも反映はしません」というんじゃテストの意義は皆無だ。一万歩譲って、発売日には間に合わなかったけどその後反映させるつもりだった、というのなら、最初からそういうべきだ。できれば発売前に。
 発売日は社長が決めた、だから変えられなかった、というのなら、せめて開発陣から「テスターの皆さんの要望は初回バージョンアップ以降に反映します」と表明しておくべきだった。そんなことしたらパッケージ版が売れなくなると思ったのかもしれないが、そういう都合の悪い事実をひた隠す姿勢がプレイヤーの不信に繋がっている。ちなみにこれは今回が初めての話じゃなく、FF11でもバージョンアップのたびに隠れて裏パッチを当ててPCの能力を弱体したりしてきた姿勢がそのまま現れているといっていい。弱体することが問題なんじゃない。何故隠すのかが問題だ。
 そもそもCBTとOBTの日程からいって、要望内容をパッケージ版に盛り込むのが不可能なのは明白だった。だからテスターの多くが「発売日を伸ばせ」といっていたのだ。ゲームの発売日の延期を嘆くゲーマーは多いけど、延期しろと希望するプレイヤーは滅多にいない。それだけ14の状態が不安だったということだ。発売日がどうしても変えられないのなら、開発陣が何らかのコメントを出すなどしてその不安を解消──できなくても、少なくともその努力をすべきだった。
 それをしないで、発売後も何も発表しないで、ユーザーが減ってからこのコメント。もしこれがゲームじゃなくて、車だの暖房器具だのだったりしたらどうなっていたことだろう。


 それともう一つ納得がいかなかった点。それは「操作系をコンシューマ機のコントローラに合わせて設計したらマウス操作の人から評判が悪かった」という返答だ。PS3版発売されてないじゃん? 予定も立ってないじゃん? いつ発売されるかもわからないPS3版のために設計したらPC版の人から不満が出ました、ってどういうことよ。その言い訳は、PS3版を最低でも同時に出していなければ使えないだろ。
 このやり取りから垣間見えるのは、開発陣内部での意思疎通が全然できてないんだなあ、ということだ。ちゃんと意思疎通ができていれば、いつ出るかもわからない機種のために初期の対象機種を切り捨てたりはしないだろう。これで未来に明るい展望を描けといわれても、どだい無理な話だ。アイマスもそうだったけれど、ゲーム本体の仕様もさることながら、発表の仕方、メーカーの姿勢によって、その後プレイヤーは増えもすれば減りもする。
 ネットの声など売り上げには関係ないと豪語した和田社長は今どんな心境だろうか?