失敗から学ぶ

エルミナージュII DS Remix ~双生の女神と運命の大地~(特典なし)


剣と魔法と学園モノ。3 - PSP


 うーん。とともの3を始めてみたものの今ひとつしっくりこない……エルミナージュに慣れすぎただろうか。


 エルミナージュを作ったスターフィッシュは、ゲームボーイカラーの時代から日本オリジナルのウィザードリィを作り続けてきたメーカーだ。海外版ウィズの翻訳、移植スタッフが制作したとされる高評価の外伝1〜3の後に日本オリジナルのウィザードリィを作るのはさぞハードルが高かったと思われ、古参のウィズファンの中にはエンパイアやアスタリスクを散々にこき下ろす人たちもいた。


 しかしスターフィッシュは諦めず、続編を出し続けた。もちろん前作の不評だった点や足りなかった点を補強して。何一つ変わっていないように見えるエルミナージュ1と2ですら、細かいところでシステム周りやユーザーインターフェースが改良を重ねられており、「続編をやったら前には戻れない」作品だ。世界樹シリーズもそうだった。
 続編を作るにあたり、耳目を惹く派手な変更要素だけを前面に押し出し、挙句調整しきれず自爆する某メーカーや某メーカーにこそ聞かせたい。あなたたちが「古い」と切って捨てた前作の要素やシステムは、スタッフが5年、7年とかけて改良に改良を重ねて作り出したものではなかったか? ユーザーの不満点を解消し、ユーザーの希望を取りこんで作ったものではなかったか?


 マンネリ? そうかもしれない。偉大なるマンネリだ。


 それは改修に改修を重ねられ、見た目に派手さはないかもしれない、しかし住み心地のよい家だ。それを取り壊して、1から、いや0から、見た目には派手だが住み心地最悪の家を建てることが正しいことなのか?
 変わるな、とは言わない。かつて天羅万象というゲームが語ったとおり「変わらないこと、すなわちそれは修羅」なのだから。
 しかし、物には限度がある。今まで積み上げてきた物を完全にぶち壊して更地に城を建てることは「変わる」とは言わない。「無謀」というのだ。


 話が逸れた。とともの3は、前作から多くの要素に変更を加え、物議をかもした1とはまったく別のゲームとして生まれ変わっている。変化を評価するという意味で、今作を買ったことは今のところ後悔はしていない。
 しかし、まだまだ改良できる余地が多くあると思う。それは見た目ではなく、システムなどの根本の部分で。例を挙げると、全体的に動作がもっさりしているのが気になる。あと、PCに全体攻撃手段が揃い始める前の序盤の段階ですら敵がわんさと出るので、戦闘バランスが云々以前に戦闘時間が長くなってうざったい、などだ。


 是非、次回作では色々な点を改良し、徐々に「快適な家」を建てていってほしいというのが正直な感想だ。