ブレカナの話


ブレイド・オブ・アルカナ The 3rd Edition (ログインテーブルトークRPGシリーズ)


 先日のエントリで、まど☆マギはブレカナに似ていると書いた。そのことでちょっと友達と話をしたので、もうちょっと深く突っ込んで書いてみたい。


 まずは、ブレイドオブアルカナというゲームの紹介から。
 前にも何度かエントリで触れたことがあるけれども、ブレイドオブアルカナ(以下ブレカナ)はファンタジーRPGである。しかし、ソードワールドアリアンロッドなど、スタンダードなファンタジーTRPGとは少し雰囲気が異なる。
 ブレカナのPCは皆、英雄である。他のゲームにおける「冒険者は英雄候補生」というのとは違い、PCはキャラクター作成時点で既に英雄である。
 英雄とは何か? このゲームにおいては「運命を背負う者」ということになるだろうか。
 PCは英雄であるが、ただの英雄ではなく「刻まれし者」(エングレイヴド)である。その体には「現在」「過去」「未来」の運命を示す3つの聖痕が刻まれている(またこの聖痕はPCのアルカナ、キャラクタークラスを表している)。3つの聖痕は、PCに人智を超えた奇跡の力を授けてくれる(具体的には1セッションに3回、特殊な力を使うことができる)。
 このゲームにおいては、PCは冒険者ではない。パーティを組むこともギルドを結成することもない。その意味ではサイバーパンクRPGにも近い。英雄たちはオープニングで出会い、エンディングで別れ、互いの道へと戻っていく。
 ならば、PCたちはなぜ共闘するのか? それは、敵が強大だからだ。


 ブレカナにおいてPCの前に立ちはだかる敵、それが「殺戮者」(マローダー)である。


 殺戮者とは何か。刻まれし者のなかで、己の欲望のために、あるいは怒りのために、悲しみのために、力の渇望に負けた者。人の身に赦される現在、過去、未来の運命を超え、他者の運命を食らい我が物としてでも自分の思いを遂げたいと望む者が殺戮者となる。むろんPCも例外ではない。ゲームタームを使って表現するなら、尊厳値(DP)というパラメータがマイナスのままエンディングに到達したPCは殺戮者となり、NPC化する。
 刻まれし者と殺戮者はともに「聖痕者」(スティグマータ)であり、同じコインの表と裏である。殺戮者はさらなる聖痕を求め刻まれし者を狩り、刻まれし者は運命に導かれて殺戮者と戦う。
 殺戮者はPCが3つしか持たない聖痕を多数(ルール上は上限なし)持ち、PCたち刻まれし者が手を組んで戦っても倒せるかどうかわからない相手だ。しかもその戦いにおいて力に頼りすぎれば闇の鎖に囚われ自らが殺戮者と化す危険を孕んでいる。


 まど☆マギでいえば魔法少女が刻まれし者、その成れの果てである魔女が殺戮者にあたる。


 まど☆マギに似た図式がブレカナにも存在する。例えばPCたちを導く存在である旅芸人コンラッドや導師リヒャルト・シュヴァルツは刻まれし者たちにこう教える。
「刻まれし者はすべての聖痕が天に還る日まで戦い続けるのだ」と。
 確かに殺戮者が死ぬと、その身に宿した聖痕はすべて天に還る。しかし、PC自身がその身に宿している聖痕はどうなのか。それは、PCが死ぬまで天に還らないのでは? という疑問は当然生じる。この疑問に、唯一神アーは(少なくともルールブックの中では)答えていない。
 英雄たる刻まれし者は、天寿を全うすることは稀である。過去の英雄たちのエピソードをまとめたサプリメント「ランドオブギルティ」でも、畳の上で(?)死ねた英雄はわずかである。道半ばにして刃に斃れるか、力の誘惑に負けて殺戮者と化すか。英雄のたどる道はそのどちらかであることがほとんどである。

 要するにマミるかサヤるか、ということだ(笑)。
 (続く)