錬金のススメ

エルミナージュII DS Remix ~双生の女神と運命の大地~(特典なし)


 錬金術エルミナージュの原型となった元のウィザードリィにはない要素(錬金術という魔法系統は、シリーズ後半になると登場したりもするが)で、複雑そうで今ひとつやる気になれなかった。しかしひょんなことから手を出してみたところ、もはやこれなしではいられないほどに便利な要素であることがだんだん分かってきた。


 エルミナージュウィザードリィのつもりでプレイしていて、錬金術にしり込みしているそこのあなた。錬金術で冒険生活を豊かにしてみませんか?


 まず、鍛冶錬金の基本について誤解しがち(私が勘違いしてただけともいう)な点について。


エルミナージュの鍛冶錬金は、新しいアイテムを作り出す技術ではない。


・鍛冶錬金では、いったん錬金した物を再加工したり、鉱石と鉱石を掛け合わせたりすることはない。


・鍛冶錬金とは「既存のアイテムに新しい能力を追加する」あるいは「既存のアイテムの不利な点を打ち消す」技術である。


 最後の点の、特に後者が重要だ。


 さて、錬金術に必要なものはまず錬金術師である。極端なことをいえばレベル1でもいい(不確定要素はなく、また失敗してアイテムがなくなったり爆発したりすることもない)。が、できればレベル26以上が望ましいだろう。
 ここで「エー、パーティにもう空きはないし錬金術師って弱いんでしょ?」と思ったあなた。確かに錬金術師は戦闘能力は強くはない(能力はそのほとんどが補助系)。でも、パーティに入れなくてもキャラを育てる方法がエルミナージュにはちゃんとある。
 オルセス寺院の「寄付」だ。1GP寄付するごとに1EP手に入るので、一歩も冒険に出ず引きこもったままでも、レベルを上げることができる。鑑定能力を持つ司教と錬金能力を持つ錬金術師については、特にこの方法が役に立つだろう。
 また、エルミナージュ2の場合、ロゼッタの宿屋のクエストをクリアして錬金倉庫の使用料金をタダにしておくといい。やりだすと利用頻度はかなり高くなるはずなので、いちいちお金を払うのはうっとうしい。クエストをクリアしておけばフェイムも手に入るし、一石二鳥だ。

 
 鍛冶錬金をいくつかの段階に分けると、最初の段階が冒険初期から中期、手に入る鉱石の錬度が10〜15程度の頃だろう。試しに鍛冶錬金を触ってみようとするとたくさんのデータがいっぺんに表示されて気後れすることもあるかもしれない。最初は何を錬金するべきだろうか?
 最初は防具のどこかにターン回復(HPが徐々に回復する)をつけるくらいがいいのではないだろうか。攻撃能力や防御耐性を下手に考え出すと止まらなくなる。例えば、特定種族倍打(文字通りダメージが倍になる)ボーナスをつけるにしても、どの種族がどれくらいの頻度で敵として現れるかはダンジョンによっても違うし、どれが特に有利というのは考えづらい。
 例外が一つだけある。「対霊倍打」だ。エルミナージュでは霊属性の敵に対して、神女と僧侶以外通常の武器ではダメージが与えられない。ハリアスの魔法を使えばダメージは通るようになるが、魔法には使用回数に制限がある。特に強い相手でもないのに、攻撃が通らないというだけで霊属性の敵に泣かされたパーティも多いことだろう。しかし、錬金術で武器に「対霊倍打」を付加しておくと、攻撃が通るようになるだけでなくダメージがさらに倍になる。霊の敵ばかりが出現するダンジョンなどでは、これを活用するのとしないのとでは攻略難易度に雲泥の差がある。「倍打はまず対霊!」だ。


 ところで、ウィザードリィエルミナージュをプレイしていて「強いけど呪われてる」アイテムが手に入ることはないだろうか? あるいは「強いけど性格や性別、種族の制限があって装備不可能」なアイテムは? 今まで、これらのアイテムは(死ぬまで付き合う覚悟がない限り)武器屋の棚に陳列しておくだけの飾りに過ぎなかった。
 ところが、錬金術を使うと「呪いを無効化」できる。解呪ではない(呪いを解くと基本的にそのアイテムはなくなってしまう)、「そのアイテムの性能を生かしつつ呪いだけを無効化」する。つまり実質、呪いのデメリット部分だけを無視できるのだ。
 性格制限や性別制限も、同様に無効化できる。悪のサーベルを善のキャラクターが装備したり、中立の鎧を悪のキャラクターが装備することも可能だ!
 呪いと性格・性別制限の無効化も、恐らく錬金術の最初の段階だ。必要な錬度も10〜15と比較的鉱石が手に入りやすく、また錬金術で「何を付与するべきか」もはっきりしている。呪われていればそれの無効化、性格に制限があればそれを無効化することだけを考えればいいからだ。


 さて、その次の段階が必要錬度30〜40程度となる。ここで可能になるのは「武器の射程距離制限解除」「装備種族制限の解除」そして「メイン/サブ制限解除」である。
 エルミナージュの武器には射程距離が設定されている。射程Sの武器は前衛から前衛にしか届かない。しかし射程制限解除をすると、S武器で敵の後衛に攻撃が届く。後列から嫌らしい呪文を連発してくるスペルキャスターなども先に潰しておける。
 そして、錬金のメイン(と勝手に思っている)「メイン/サブ制限解除」。実は私が錬金にハマったのはこれを活用しだしてからだ。
 武器には先ほど述べた射程距離の他に、メイン/サブという属性がある。サブは右手でも左手でも持てる武器、メインは右手でないと持てない武器、そして両手は左右の手を使う武器だ。メイン/サブ解除は、このうち右手でしか持てない武器を左手でも持てるようにする……つまり、実質二刀流を可能にする技術だ。
 実際(元々二刀流を特性で持っている侍と、使用する武器のほとんどがサブ属性で二本持つことに支障がない忍者を除き)このメイン/サブ制限解除を使うことで私のパーティの攻撃力は2倍近くに跳ね上がった。右手で持っていた武器を左手にも持って一人で2回攻撃を繰り出す。6人パーティで司教を除く5人が二刀流使い、全部で1ターン11回攻撃である。錬金術を食わず嫌いで済ますにはもったいなさすぎる性能だ。
 ただし強力な分だけ必要なポイントも35と高いため、序盤に付与するのはほとんど不可能だし、この次の段階である複合能力を付与するのは非常に厳しい(片手武器のほとんどは射程が短いので、利き腕の武器に射程距離解除をつけておくといいかもしれない)。


 最後に、上記挙げた能力と、その他の複合だ。例えば、実際使用しているものとして「夕凪のフルーレ」がある。これは属性がメインで、しかも中立専用の武器だ。ということは、これを善の君主が二刀流するためには「性格制限解除」と「メイン/サブ制限解除」を同時にする必要がある。
 ここが錬金術の面白いところなのだが、「性格制限解除」はベクトレイム、三層オラート、ミルストーンを使って付与することができる。そして「メイン/サブ制限解除」は氷化エルブン鉄、魔蒼石、ミルストーンを使う。しかし、鍛冶錬金では複数の鉱石を使用することができないことは既に述べたとおりだ。つまり、この夕凪のフルーレの鍛冶錬金にはミルストーンしか使えない。すると、ミルストーンはダメージ強化がついていないので、これ以上どんなに錬度の高い鉱石が手に入ってもダメージは伸ばせない、ということになる。
 また別の例を挙げるなら、侍の主戦力として使っている甕星の二刀流。これは呪いの武器なので呪い解除は基本、さらに1本を対霊倍打、もう1本を射程距離解除している(侍は二刀流能力があるのでメイン/サブ解除は不要)。本当は両方対霊倍打&射程距離解除できればいいのだが、呪い解除が10、対霊倍打が15、射程距離解除が30錬度必要なので、合計で錬度が55も必要になってしまう(鉱石の最大錬度は50、あとは錬金術師のレベルを上げてボーナスで増やすしかない)。


 というわけで、いろいろと試行錯誤が必要だ。最初に錬金術師のレベルは26あった方がいいといったのは、レベル26で手に入るハイマスター能力に「分解」というのがあり、鍛冶錬金した武器と鉱石を元の状態に戻せるからなのだ。分解能力がなくても、例えばレベル1の錬金術師でも高錬度の鉱石さえあれば上記の鍛冶錬金は全て可能だが(繰り返すがランダムで失敗するということはない)、分解できないと鉱石は「使い捨て」になってしまう。逆にいえば、分解さえあればいくらでもやり直しが効くし、より強い武器を拾った時にも分解して付け直せばいいから気楽にできる。


 つらつら書いてきたが、錬金の世界はまだこれでも入り口。あとは最終盤の敵が使う致命的かつ嫌らしい能力から身を守るため、防具を錬金しなければ……。