黙って知らんふりをしていればよかったのに

@puminin
ふーん。でも僕はやっぱり、ユーザーニーズを推し量るモノづくりはしないなあ。自分が好きだったり必要だと思うことをやりたい。それで商業にならなくてもいい。常に趣味優先。商業になるかを決めるのは他の人や時流でいい。それが大事だという考えは変わらないのさー。


駄作を作った人間は、駄作しか作れない人間だ、 という評価は正しく見えて正しくない。
まあそれが人間相手の面白いとこなんですなぁ。で、そういう不安定な同業者を罵ったりしちゃいかんよ?


 Puminin=伏見氏。

 私も昔は、TRPGというものは商業よりも趣味優先で、自分が好きだったり必要だと思うことをやりさえすればいいと思っていた──冬の時代がくるまでは。

 TRPGが商売を度外視して趣味だけを追求し、何の工夫も改善の努力もしなかった結果、冬の時代がやってきた。趣味は趣味でさえあればいいという考え方が、以前ここでも取り挙げた某コンプ副編みたいな業界ゴロとしか思えない人間が跳梁する隙を作ってしまった。
 前にも書いたが──冬の時代に誰もがTRPGを見捨て、新作を出さなくなった時、趣味優先だったクリエイターは真っ先に逃げ出した。それでも真摯にTRPGと向き合ってくれたのは、ユーザーニーズをきちんと推し量ってくれた商業主義の会社であり、クリエイターだった。TRPGの今があるのは彼らのお陰だ。
 だから私は、何よりも結果をもたらしてくれた彼らを支持している。
 

 ところで、この間のTRPGをセラピーとして使う話の続き。


 本稿の再掲にあたっては、Analog Game Studies内の当記事への査読担当者による査読を行ないました。結果、原則として文面を変化させる必要はないという結論に至りました。その理由は、大きく分けて以下の4点になります。


・「ブルーフォレスト通信」の他の記事とは内容的に独立した記事であり、例えば『ブルーフォレスト物語』を知らなくても理解することができる。

・初出のままで掲載したほうが、本稿の先進性が読者の方に伝わりやすい。

・本稿の鋭角的に打ち出された問題意識、ならびに会話型RPGという表現を通じて「前に進む」意志は、それ自体として固有の価値がある。

・本稿はすでに、(精神科医を含む)精神保健や臨床の専門家、あるいは相互支援の現場にいる方々から高い評価をうけていた。


 これらの理由から、伏見健二さまと相談のうえ、原則として初出のままで公開することとした次第です。


 問題意識があって先進性があれば何をしても許されるわけではない。医者ですらない人間が、患者を“趣味”で治療するのはどう考えてもマズい。
 ユーザーニーズを推し量らないでも許されていたのはそれがTRPGだからだ。患者の声を無視して治療する医療はどうひっくり返ってもありえない。