意外なハードル

 実は、「PSP 電子書籍」という言葉で検索してみるとわかるが、実際にPSPを電子ブックリーダーとして使用している人はいる。特にgoは、スライドを閉じた状態でLRボタンだけを使ってページ送り/ページ戻しができるのであれば、性能や重量、手軽さなどの点からみて既存の専用電子ブックリーダーに引けを取らない優秀なリーダーとして機能し得る。活用している人の評価も高い。

 ……しかし、である。
 
 実際に活用している人は青空文庫を読むのに使うか、もしくは自分でスキャンした書籍にしてもOCRソフトを介してテキスト化しているようで、それでは私の使いたい用途には使えない。
 私の場合、自炊した書籍の中でも、特に読みたいのは「漫画」や「画集」なのだ。
 理由は簡単で、手元にある書籍のうちそれらの大きめの書籍の方を優先して電子化しているからだ。大きめの書籍は裁断しやすく、スキャンしやすい。ネット経由で取り寄せた、自炊用にお勧めとなっていた裁断機は、足の上に落としたら骨がへし折れるほど重くがっちりしたつくりだが、それでも文庫本サイズの本となると裁断するのはかなり手間だ。大きさの割にページ数が多く分厚いせいで固定しづらいのだ。
 しかも、元々スペースを取らないように小型化されている文庫本は自炊しても省スペース効果が薄いし、持って出かけるのも苦ではない。版形が大きくバラバラで場所を取り持ち歩きづらく、しかもスキャンしやすい本の方が優先度は高くなる。

 で、電子化したコミックを読むのには、goはハードルが高いのだ。

 PSPgoの液晶は横長だがスキャンした画像はほとんど縦長だから、本来はgoを縦持ちで使いたいところだ。しかし、goについている画像ビューワだと、一枚送るごとに縦横変換をかけなければならない。しかもLRボタンだけでは操作ができないのでスライドを開いた状態で持ちっぱなしにする必要がある。また、PSPは画像ビューワの他にコミックリーダーというソフトもあるのだが、これもDL購入したデータを閲覧するためのもので、自分のデータを読むようになっていない。
 シグマリオン同様、有志が作成したツールなら期待が持てそうなのだが、いかんせんPSPの自作ツールはその多くがCFWを適用することが前提になっている。私はPSPを「割る」つもりは毛頭ないので、これらも選択肢の外、ということになる。
 こうしていろいろ検討していくと、PSPgoはコミックなどを想定した電子ブックリーダーにはあまり向いていないようである。もちろん、そもそもシグマリオンの800×480ドットとPSPの480×270ドットでは解像度が倍近く違うから、自由にフォントや文字数を設定できるテキスト文書はともかく、細かい画像の表示に向いていない、というのも含めての話になるが*1

*1:手元のコミックを画像ビューアで表示してみたが、吹き出し内の文字でも識別できないコマが点在する。もちろんシグマリオンではまったく問題なく表示される