こちらは5年か10年に一度、超をつけてもいいほどの豊作だったと個人的には思っている。前半はまどかマギカ、後半はけいおん劇場版という2大タイトルに席巻された一年だった。
驚きの連続
魔法少女まどか☆マギカ公式ガイドブック you are not alone. (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
- 作者: 原作:Magica Quartet,まんがタイムきらら
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2011/08/27
- メディア: コミック
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テレビシリーズのDVDを全巻発売日に買って揃えるなんて何年振りだろうか。最近はライトノベルやゲームをアニメ化したメディアミックス作品が多く、結末もあらかじめわかってしまうことが少なくないなか、完全オリジナル作品として(特に第3話から)「この先の展開はいったいどうなってしまうんだろう?」と一時も目が離せない作品だった。そして8話、10話と、決して伏線を無視しているわけではないのに、見せ方が非常に巧かった。
まどかマギカは監督と脚本とキャラデザインのいわば「ミスマッチのバランス」によって成立した、稀有な作品だったと思う。逆にいうとテレビシリーズで完全に完成された作品だったので、けいおんの時ほど劇場版に期待する感情が沸かない。期待半分、不安半分というところだろうか。
安心の良作
そして12月に公開されたけいおん劇場版。去年の大晦日のエントリにあるように、私はこの作品に大きな期待を寄せていた。そして実際、期待を裏切らない作品だった。
まさにまどかマギカとは対照的な作品だった。まどかマギカがストライクゾーンすれすれの変化球だとすれば、こちらは速球のストレート、それもストライクゾーンのど真ん中という感じだ。本当にこの作品ほど「安心して見れる」という表現がしっくりくるアニメも少ないだろう。
視聴者の予想を裏切るのには、複雑な設定やややこしい伏線は別に必須ではない。「単純なプロットでも視聴者を驚かすことは十分にできるのだ」と証明してみせたのがまどかマギカであり、逆に視聴者を驚かせなくても「丁寧な描写と無理のないちゃんとした脚本があれば良作は作り得る」と実証したのがけいおんだと思う。
この二作は「日本のアニメが進化の袋小路にあり、未来はないのではないか」*1という不安を払拭してくれる作品だった。制作に携わった方々に心から敬意と感謝を表したい。
*1:この前に見た作品が「星を……」だったのでなおさら。