いよいよWindows8の発売日が決まったようだ。しかし、私はこのOSがうまくいくのかどうかかなり危ぶんでいる。いや、マイクロソフトのOSは一つおきに失敗するから、とかそういうことではなくて、方針が迷走している気がするからだ。
最初に私が驚いたのは、システム要件がWindows7と同等とされたことだ。もちろん今までのマイクロソフトの方針からすれば次期OSで必要スペックが上がらないというだけでも画期的であるのは確かだが、Windows8のコンセプトがiOSやアンドロイド端末がシェアを占めているタブレット端末の分野で伍して戦うことを目的としているのであれば、現状ですら必要スペックは高すぎる。昨日のエントリで書いたように、アンドロイドではスムーズに動作するAtom端末が、Windowsでは重すぎてまともに動作しないのだから。
Windows8はWindows7との間に機能的なトレードオフはないとされている。トレードオフがないというのなら、必要スペックはある程度高くならざるを得ないだろう。しかし、そもそもタブレット端末にそこまでの高機能が求められているのか? ウェブブラウズとメールチェックができて、Youtubeがちょっと見れればいい程度で、PCのような機能は必要とされていないのではないか?
もしアップルがiPhoneやiPadがあればPCはいらないと思っているのなら新しいMacなどリリースしないだろう。Android端末だって別途PCを持っていることを前提とした機能が多数ある。その観点からいえば、PCとタブレット端末やスマートフォンは棲み分けを図るべき機械であって、同一化を図るべき機械ではないと思うのだ。
昔、マイクロソフトはメインストリームであるWindowsの他にWindowsCE Handheld PC Editionという携帯用端末向けのOSを持っていたが、この系列のCEは既に開発を終了してしまっている。後継的な存在としてWindows Mobile for SmartphoneというOSがあるものの、日本市場での搭載機種は数えるほどしかなく、存在感ではiOSやAndroidには遠く及ばない。しかし、もしマイクロソフトがタブレット端末のジャンルで巻き返しを図りたいのであれば、Windows8を対応させるのではなく、タブレット端末用の「WindowsCE TabletEdition」を作るべきだ、というのが私の意見だ。
二兎を追うものは一兎を得ず。半端な形でタブレット端末に対応しようとするのでは、結局今優位に立っているPCも含め両方で敗北することになりかねない。相手が優位に立っているフィールドにわざわざ降りていくのではなく、自分が有利なフィールドで戦うべきではないだろうか。マイクロソフトが自社製タブレットを発売するという話を聞いてもつくづくそう思うのだが……。