今回はまともだった

Role&Roll Vol.103

Role&Roll Vol.103


 今まで何度かこの雑誌の初心者講座を見てきたけれど、その中では一番まともな出来だったと思う。特に私のクリティカルな定番の台詞「TRPGではプレイヤーはどんな行動でも取れる(そしてGMが人間なのでそれに対応できる)」がなかったのは高評価(確か前はあったはずなので削除されたのだろう)。プレイヤーもGMを含めた参加者全員が楽しめるように努力すること、プレイヤーの提示した行動にGMが対応できなさそうだったら修正することも検討すること、とか前の初心者向けガイドに比べるとかなり進歩しているように見えた(終わったら「楽しかったよ」と伝えること、とかね)。
 あと、オンラインセッションについていわゆる通常のセッションとは分けて様々な説明を加えている初心者向けガイドというのは初めて読んだ気がする。これもアイデアとしてはいいと思う。

 残念ながら突っ込みどころが多かったのは購入ガイド。仕方がないんだけどコピペしたかのように「わかりやすい」「なじみやすい」というフレーズが並んでいるので、結局どれを選んだらいいかの判断材料が少ない気がする。タイトルのセレクションは、ソードワールド2、アリアンロッド2、D&DアルシャードS、エリュシオン……そこはダブルクロスにしろよと言いたいけれど、これが新紀元社の雑誌であることを考えれば、ARAとALSが入っているだけでも上出来だろう。
 ただ、クトゥルフはいただけない。冒頭にTRPGへの導線としてプレイ動画を挙げているのでクトゥルフを取り上げざるを得なかったんだと思うけど、明らかにこれだけは初心者向けではない。「独特のプレイ感覚は他にはない魅力がある」というだけではなく、KPにもプレイヤーにも普通のTRPGとは異なる注意が必要で、取り扱うルールやデータも多いのだということはできれば注意喚起してもらいたかった。本当は、かつてHJが「放課後怪奇くらぶ」でやっていたように、初心者向けの簡易版を出すのが理想的なのだろうけれど。