意外といえば意外な展開

ソーシャルゲー業界を悩ます開発費高騰 「今や億単位が当たり前」


 実は、私はゲーム業界がソーシャルゲームに押されているのは、PS3とXBOX360をはじめとする旧・次世代機の要求するグラフィックなどのクオリティが高すぎて、開発費が暴騰したせいで冒険ができなくなったからだと思っていた。前項で書いたように、たくさんの駄作が生まれる余地があって初めて名作が生まれるものだからだ。開発費が高くなって生まれる作品が減れば、当然名作が生まれる余地も減る。
 そこに隙間を縫って登場したのがソーシャルゲームで、高度なグラフィックを要求されることもなく開発費を抑えられることから、まさにたくさんのゲームが生まれ──そのなかから面白いのであろうゲームが登場するのは必然で、それにコンシューマゲームが押されるのはいわば当然かなと考えていた。開発費の安く済む携帯機のゲームに趨勢が移るのも同じ流れだ。

 と、今まではそう思っていた。ところが、やってるわけじゃないから詳しくは知らないけど、グラフィックのレベルも低くていい、ゲーム性も大して変わらない(ように外からは見える)作品の制作費が億を越えるだって? 億の単位だと、私の乏しい知識から言えばPSPソフトの開発費のレベルは優に超えている。ソーシャルゲームのどこにそんなに金がかかるのかさっぱり想像ができない(もしかして版権料?)。
 ということは、グラフィックのクオリティと開発費は必ずしも比例しないということだろうか? そうなると、旧・次世代機でなぜあんなに開発費が跳ね上がったのか説明がつかない。

 いやむしろ、ソーシャルゲームの開発費の金の使いどころが今までのゲームとは違う、と考えたほうがいいのか。大金を投入して版権を買い取れればユーザーが集まるっていうのはコンシューマにはない発想だ。むしろゲーマーの間では「キャラクターゲームは地雷」というのが定説になるくらいだし。