その名はMJ

 MJという言葉をご存知だろうか。メリージェーンではなく、「まずいジュース」の略である。もしかしたら別の呼び名で呼ぶ人もいるかもしれない。ネタとしてまずいジュースを飲んでみるというのはよくある話で、検索してみるとサイトがいくつも当たったりする。
 有名なのだとJR東海の「タヒボベビータ」だとか「サスケ」だとか。


 私とMJの出会いのきっかけは何故かTRPG。「たかまぁ亭」という、今でいうJGCの前身みたいな宿泊イベントに参加した時、セッションの合間に主催者のゲリライベントで飲まされたのが最初の記憶だ。もっとも主催者の標的は私なんかではなく、たまたまその時そばにいた菊池たけしさん(と、セブンフォートレスの「ライム」のプレイヤーの女性)だったのだと思うが。
 菊池さんが何を飲まされていたかは知らないが、私自身がその時飲んだのは「アイスクリームジュース」なるもので、まさに「溶けたアイスクリーム」としか形容しようのない味だった。激マズでもなく、かといって美味しくもなく、微妙に不味いとしか言いようのない代物だったのを覚えている。


 以来私が出会うMJの多くは「激烈に不味い」のではなく「ネタにしづらい微妙な不味さ」のそれがほとんどだった(ちなみに私はドクターペッパープリンシェイクを愛飲する味覚の持ち主である)。記憶にあるものでいうとリプトンの「ティーソーダ」と「トロピカルティーソーダ」とか。ティーソーダで懲りていたのにトロピカルに手を出した私が悪いのだが……。

小粋じゃないチョコバナナ

 そして、今日のお題はこれである。



 ネタにするために飲んだわけではない。ちょっとした病気をしてからチョコレート類を断っているのだが、たまたま駅の自販機で目に入ったこの飲み物が気になったのである。バナナも好きだし、この形の缶は量がちょうどいいので手を出しやすい。
 ところが、買って蓋を開けた瞬間、久しぶりに嫌な予感がした。私が予想していた「エクレアの包み紙を開けた時の香り」とか「ホットココアの香り」だとかじゃなく「間違えて電子レンジで暖めてしまったバナナの匂い」としか形容のしようのない匂いがしたのだ。
 匂いはダメでも味は……と思って二口ほど飲んで、ゴミ箱へ投入。チョコレート断ちを再び継続することになった。


 何がダメって、匂いと同じでこれを飲もうとする人のほとんどは「基本ホットチョコレートで、バナナの風味や香りがする」くらいを想像すると思うんだけど、明らかに味のベースがバナナの方。バナナの匂いが鼻についたところでチョコレートの味が口に蔓延するという、いやこれチョコレートとバナナの位置づけがどう考えても逆だろう。
 バナナそのものは「暖めて食べる」という人はほとんどいないわけで、これを冷やしてから飲むのなら香りが抑えられてちょうどいいかもしれないけど、暖めることで明らかにバナナのダメな部分が表に出てしまっている感じ。
 とはいえ、これもティーソーダなどと同じで、またしても「激烈に不味い」というほどではないという微妙な不味さ。我慢をすれば飲めなくもないレベルだ。


 このエントリを書くにあたりググってみたところ、真っ先に出た複合検索が「まずい」だったので、このジュースも早晩ラインナップから消えるのではないだろうか。いや、この味が好きな人には大変申し訳ない話なのだけれども……。