アルファとベータ

グランクレストRPGルールブック 2 (富士見ドラゴンブック)

グランクレストRPGルールブック 2 (富士見ドラゴンブック)


『グランクレストRPGルールブック 2』の内容と感想。サプリメント発売情報も


 まとめでも言われてるけど、リーダーに収まることが多いロードがプレイヤーとして強権を揮おうとするアルファプレイヤー問題、メイジが軍師として他プレイヤーの行動をコントロールしようとするベータプレイヤー問題についてプレイングエイドで言及されている。
 そして、まとめではそこまで触れられてないけど、その前段もなかなかいいことが書かれている。時折トラブルケースとして報告を見かけるケースだ。

 人間は戦争という極限状態の中で、勝つためには何でもやる。それは歴史上の事実だ。だが、ここで重要なのは、プレイしているあなたがたは戦争をしているのではない、ということだ。あなたがたの勝利条件は、敵国をことごとく殺し尽くして屍の山を築くことではなく、戦争をフィクションとして扱うことで楽しく遊ぶことである。 

 『グランクレスト』の戦争はフィクションだ。現実の戦争をシミュレートすることが目的ではない。人類がどれだけ愚かでも、あなたまで愚かである必要はない。英雄たちは弱いものを護り、騎士道を尊び、無益な虐殺や捕虜の弾圧を行うべきではない。そして、そのようなことをしない高潔な英雄は礼賛され人心を得るべきである。


 これは、この間紹介した「ゴブリンのジレンマ」に対するデザイナーサイドからの一定の回答でもあるだろう。
 何度も書いているが、このプレイングエイドを見て「こんなの俺には関係ない」「一々説教くさいな」と感じる人がいたら黄色信号である。

それはそれとして

 1を読んだ時にも思ったのだが、確かに「グランクレスト」は今時珍しいシングルクラス制のゲームになっているため、キャラクター表現の幅に制約を感じるというのはある。実際にはワークスとクラスを組み合わせているのだが、ワークスはキャラクターを表現するというほどイメージが強くなく、ダブルクロスの「ワークス」程度の意味づけしか感じられないし、技能などの選択の幅がそれほどあるわけでもない。
 前にも書いたように、日本のTRPGはマルチクラスのゲームが多い。5月に大型サプリが予定されているということは、そこで話題になっているデミヒューマンデータと一緒にマルチクラス、そしてフルコンストラクションキャラ作成ルールが追加される可能性はあると思う。もっとも、仮に追加されたとしてもD&D4thやダブルクロス3rdのマルチミームのように「限定的に他のクラスの特技をちょっと齧れるだけ」くらいが順当な気もするが。