これがマスコミか

「iPod終焉」の誤訳記事はなぜ生まれたのか


 適切と思われる指摘をしてる人がコメント欄に一人だけいる。
 これって、明らかに「間違い」とも言えない、でも明らかに原文には存在しないニュアンスを追加して読者を誤誘導しようとしている、っていう、日経系メディアの常套記事だよね。
 元は「declining business」で「傾きつつある事業」だから、iPodが儲からなくなりつつあるのは事実だろう。ソニーにも負けてるし。ただ、翻訳時に「iPodの終焉を示唆」っていうタイトルつけると「AppleiPodを生産中止しようとしている」という意味合いが付け加わってしまう。原文にもそれっぽい記述はあるけど疑問系(しかもティムクックは特になんともコメントしていない)なのに比べて、日経の記事は断定系になってるからさらに酷い。「それは読むほうが勝手に解釈してるだけだろ」って翻訳者は主張するかもしれないけど、明らかにそう誤解する方向に誘導してる。これを「誤訳じゃない」と主張するのは、正しいかどうかはともかく、ゴシップメディア的な感覚だ。

 でもまぁ、米Apple社なら日本のマスコミが何を騒ごうが気にしないだろうが、こういう類の記事に加えて、さらに好き勝手なタイトルやコメントをつけて拡散されたまとめサイトの内容を経営陣の一部や株主が真に受けて、事業までもが右往左往されかねないのが日本の企業というわけだ。経営者がまとめサイトなんて読んでるの? と思ってたけど、どうも読んでるみたいなんだよね……。


 なお、私自身はどうかというと、iPodTouchを使ってるので最初「iPod生産中止だと!?」と目の色が変わったけど──iPadの展開と合わせて考えると、iPodTouchの名前が「iPhone Wifi版」になるだけだろう。iPhone買うのに回線契約必須と言われないのであれば、端末の名前が変わっても別に影響はないかなぁ。