今回の顛末

 自戒を込めて今回の顛末をまとめておこう。


 まず発端は一週間ほど前、PCを起動する時に2回に1回くらいの割合で固まる──コマンドプロンプトの画面のような状態で停止する──ようになったこと。このところ再インストールとか負荷の高い処理を行っていたので、いよいよPC本体の寿命が近づいたかと思い、マイドキュメントの中身を外付けハードディスクに退避させるなど準備をして、この週末にでも新しいPCを物色しようとしていた。


 しかし木曜日の夜になって突然、外付けハードディスクの一つがCRCエラーを吐き出した。前日まで何の兆候もなく普通に動作していたので、これは完全に不意打ちだった。つまり、このところの起動時の不良はこのドライブの起動チェックのためだったらしい、ということがようやくわかり、慌てていろいろなサイトを調べ、とりあえずRequvaというソフトを使ってファイルの退避を試みた。
 ところが、このソフトはどうやら「誤って削除したデータの復元」が主な機能らしく、エラードライブの「削除済みデータ」を検出して復元しようとしてきた。退避したいのはエラードライブで「現に生きている」データであって「削除済み」のデータには用がない。ソフトを変え、ファイナルデータの無料版を使ってみた。
 Requvaもそうなのだが、既に論理エラーを起こしているドライブをスキャンするのにはかなりの時間を要する。ファイナルデータにドライブをスキャンさせた状態で職場へ出かけた。これが金曜の朝の出来事である。


 金曜日、帰宅してみるとスキャンは終了しており、論理エラーを起こしたドライブの内容は完全に確認できる状態だったものの、ファイナルデータの無料版はスキャンのみの機能しか持たず、復元には製品版が必要となる。残業のため帰宅時間は電気屋の開店時間を過ぎていたので、土曜日の朝に製品を買ってくることにした。
 エラードライブをどうするかは非常に迷ったものの「電源を落として再度起動すると起動時にドライブに負荷がかかる」と書いてあるページがあったので、電源は落とさず、エラードライブにアクセスするような処理は全て終了させた上で就寝した。


 結果からいえば、この半日が命運を分けてしまった。


 土曜日の早朝、ガリガリという異音がして目が覚める。もちろんエラーを起こしたドライブからだ。
 再び完全に私の見込み違いである。てっきり何かの拍子に書き込みがうまく行かなかった論理エラーのみの現象だと思っていたが、実はヘッドの磨耗だかプラッタの不良だか分からないが、物理的な不具合から来るエラーだった訳だ。データ復元ソフトが復元できるのは論理エラーだけであり、物理エラーは復元できない。
 案の定、ファイナルデータの製品版を起動してもドライブそのものを認識しなくなっていたため、データの復元は不可能だった。


 前日、捨てるほど余っている休暇を取って無理やりにでもその場でデータをサルベージしていれば、最初のスキャン状態からいって恐らくほとんどのデータは無事だったはずだ。要するに私の油断が招いた事態であると思うと、なんともやりきれない気分である。(続く)