宇宙の世紀

エイジ・オブ・ギャラクシー

エイジ・オブ・ギャラクシー


 さて、今日は何度か先延ばしにしてきた、このスペースオペラTRPGについて。

前置き

 そもそも、日本語に翻訳された海外のTRPGの中でも、D&Dと同様最古参となるタイトルに「トラベラー」や「スタークエスト」があるように、スペースオペラはファンタジーと並ぶ黎明期のTRPGの題材だった。しかしその後は、SF華やかなりし頃の残滓としていくつかのタイトルがリリースされたきりで、特に日本語で遊べるスペースオペラTRPGの数は指折り数えるほどしかない。
 先に挙げた二作の他は、スペオペヒーローズ、続編のスターロード、ギャラクティックアーク(阿修羅システム)、クレギオンマルチバース、そしてエイジ・オブ・ギャラクシー(以下AOG)の前作にあたるスターレジェンド。中でも、今までサポートが続いていると呼べるのはほぼスターレジェンド一作だけである。
 私自身、スペースオペラというジャンルに思い入れがある。何といってもスターウォーズという超有名作品のおかげでプレイヤーの共通認識が作りやすい(実はAOGにも「クリスタルシンガー」と呼ばれる「ジェダイの騎士」が登場する)。また、サイバーパンクのように現実との境目が判然としなくなってしまったSFジャンルよりは、「宇宙船とワープ航法、架空の星が登場すればスペオペ」とはっきり区別できる──ぶっちゃけそれ以外はレトロフューチャーでも、あるいは現代とまったく同じでもスペオペと強弁できるのでやりやすい。

閑話休題

 前置きが長くなったが、AOGの感想である。実プレイはまだしていないので、読んだ印象、ということになるが。

 まず、システムがSRSに対応している。これはまぁ……流れというか、そうなるだろうな、とは思っていた。元のシステムにあった碑文字のシステムなどはSRSの加護と対応させやすいし。また、選択可能な3つのクラスが基本クラス、種族クラス、その他と分かれているのも選ぶ上では分かりやすい。
 基本クラスはアルシャードと同様、3つに減っている(この調子だと、もしかしたらアリアンロッドとかも次版で基本クラスが3つになるかも)。何でも屋のアウトロウに相当するクラスが減ったと思いきや、なんと戦闘のプロであるスリンガーに相当するクラスがない。アウトロウは今作の探検家(エクスプローラー)、テクノロジストが航宙士(アストロノーツ)……これはまぁ、前作もテクノロジストと言いつつ、宇宙船乗りが多くて技術者っぽいサンプルはほとんどいなかったので納得。そしてネゴシエーターが調停者(コンポーザー)。ちなみに前作ではエクスプローラーとコンポーザーは一般クラスで、クラスの持つ意味合いも違った。
 この選択は、やはりスペースオペラのテーマは探検と未知との遭遇、そして異なる存在との調停にあって、戦って相手に打ち克つことではない、というデザイナーの思想が現れているのだろうか? しかし、調停者が交渉を司るクラスだからといって交渉能力を持っているというわけではない──回復と支援、強化の能力を持つ、ファンタジーでいえば神官のようなクラスである。探検家が戦士、航宙士が魔術師だ。
 

前作との違いは?

 大きな変化はやはり「艤装システム」だろう。「ん?」と思った人は多分正解だ。デザイナーの銅大氏は艦これのノベライズ「とある鎮守府の一日」などに関わっている。宇宙船を亜空間フィールドに係留し、ユニット化したコクピットを強化宇宙服として装備する──つまり艦これの艤装(いや、むしろ宇宙船を召喚するからアルペジオ?)である。ちゃんと参考図書に「艦これ」も挙げられている(笑)。
 あとは、サンプルキャラクターをざっと見ての印象なのだが、キャラクターのバリエーションが減ったような……。特に、前作で好きだった鬼(ワンダラー)が見当たらないのと、マーチャントプリンスの「従者に殴らせる」能力が消えているのが残念だ。知性化動物(アップリフター)が基本に載った関係でカットされたのだろうか。

終わりに

 あくまでも個人的な印象だが、スペースオペラをサポートしたことで、SRSの表現の幅は大きく広がったと思う。立ち消えになるかもと思っていたスターレジェンドのサポートが、版上げという形で継続することになったのは嬉しかった。艦これ要素を取り込んだのはちょっと予想外だったが……イラストレーターがbobさんということもあるし、これが新規ユーザーが興味を持つきっかけの一つになってくれればなお嬉しいのだけれど。