もう一人のピコピコ少年の思い出(2)

サイドビューとトップビュー「源平討魔伝」・前編

 昔、今のような「ポリゴン技術」なんてまだなかった頃のゲームは、大きく分けて「サイドビュー」か「トップビュー」のどちらかだった(例外も稀にあったが)。つまり、画面が上から見る形になっているか、横から見る形になっているかである。
 わかりやすい例がこれだろう。



 これがサイドビュー(ディグダグ)。



 こちらがトップビューである(ディグダグ2)。
 私自身はトップビューのゲームの方が好きだった。子供じみた考えだが、当時は「その方がリアリティがある」あるいは「ゲーム世界の広さが感じられる」と思っていたからだ。現実世界の我々は、X軸、Y軸方向には自由に移動できても、Z軸方向に自由に移動することはほとんどない。サイドビューで表される世界は「奥行きゼロの世界」ということになる。
 しかし、実際に話題になるゲームは、どちらかといえばサイドビューのゲームの方が多かったのではないだろうか。代表的なのがスーパーマリオだろう。サイドビューのゲームは、縦方向の移動(つまりジャンプ)に慣性などの不自由さを持たせ、そこにゲーム性を持たせることができるが、トップビューだと「上下左右に逃げ回る」という以上のシステムを作るのは難しい。


 その頃の私は「トップビューとサイドビューの良さを合わせ持ったゲームはないものか」とずっと思っていた。そして、恐らく当時のナムコも試行錯誤していたのではないかと思う。なぜなら、ナムコの場合「続編でサイドビューとトップビューが入れ替わる」タイトルがディグダグ以外にもいくつもあったからだ。


 ディグダグ(サイドビュー) ディグダグ2(トップビュー)


 パックマン(トップビュー)


 パックランド(サイドビュー)


 マッピー(サイドビュー)


 ホッピングマッピー(トップビュー)


 ドルアーガの塔(トップビュー)


 カイの冒険(サイドビュー)


 同じシリーズでこれだけ入れ替える(トップビューとサイドビューを変えるということは続編なのにゲームシステムをガラッと変えることに他ならない)メーカーは他になかったんじゃないだろうか。


 そして、その集大成と思われる「同じゲームにサイドビューとトップビューを一緒にぶち込んだ」のが「源平討魔伝」だ。
 私の第一印象は「一粒で3度おいしい!」だった。
 是非ドルアーガワルキューレといった他のIPを源平のシステムで出してほしいと当時は思っていたが……まぁ、もちろんそんなことにはならなかった(笑)。