そして3回目

 行って参りました、噂の立川爆音上映。














・実は、エイジオブウルトロン(AOU)の時に初めて立川の爆音上映を観たんだけど、耳が痛いほどで酷い目に遭った。なので、ガルパンも爆音はあえて避けていた。ただ、爆音を体験した人たちの評価がどれも高かったので、一度体験してみようという気分に。


・AOUの時は、効果音だけじゃなくBGMやら台詞まで全部の音圧が高かった気がしたが、ガルパンはさすがに本家スタッフが調整したというだけあって、ほぼ戦車関連の効果音のみの音圧が上げられていて、BGMとか他の音源は普通だったので聞きやすかったし、相対的に戦車の迫力は物凄いことになっていた。


・極上爆音は体感アトラクション、とか言ってた人を見かけたけど、それに近いというか。序盤でいうとプラウダ戦車群の走行音、そしてなんといっても後半のカールの弾着音がとんでもない。左右の通路近くの席だったんだが、壁がビリビリ震えるんだよ……。


・さて、3回目ともなると色々な部分に気を配る余裕も出てくるが、逆に細部については何回見ても「これBD発売されないとわからんよ!」という部分がなかなかなくならない。特に今回は後半に注意して観てみた。


・冒頭9分の無料公開分はもう何度も見返しているので流し気味に。


・カモさんチームがクルセイダーを吹き飛ばす時の「おりゃ」という掛け声。確かに劇場では聞こえなかった


・神社の階段を下りるシーン、ちゃんと神様に頭を下げてるのがノンナだけという……(笑)。お騒がせしてすみません、ってことかな?


・桃ちゃん、初撃破する前から初撃破初撃破言ってるんだよな。これフラッグ戦なんだが……。


エキシビションの最後、珍しくみほが焦った口調で「次!」というシーン。後半にすらみほが慌てるシーンはないので珍しい。これは「カチューシャがダージリンの盾になったのが意外だった」ってことかな。冒頭の「スコーンが勝手に割れる」といい、ダージリンとみほだけは相手チームの戦車の性能だけじゃなく搭乗員の性格まで読んで行動してるっぽいんで、カチューシャの行動が性格に反して予想外だったのかも。だとしたらこれも、後半戦の伏線だよな。


最近話題になってたけど、この映画のお風呂シーン、長髪組はだいたい髪をアップにしてる。そして、言われてみれば、お風呂シーンではローズヒップは大人しい


・ネットで「沙織が言ってるドンシャリブームってなに」みたいな書き込みを見かけたが、確かに沙織の台詞「断捨離」とは聞きづらい。


穿った見方かもしれないけど、廃校を告げられた時、桃が「学校に立て篭もる」と言って会長にあっさり一蹴されるのって、何かっていうと意味もなくクーデターとか起こしたがる戦車好きの某監督の作中人物に対する婉曲な揶揄*1っぽく見えてしまうのは私が汚い大人だからなんだろうな(笑)。


・みほは引っ越し用のダンボールにまでボコを描いてるのか……。しかし、苦手科目が美術で沙織に呆れられるほど*2にしてはずいぶん絵が巧い。もしかしてみほ以外の誰かが描いたんだろうか?


・スーパーギャラクシーの操縦席と地上でどうやって会話してるんだろうと思ったら、いつの間にか無線機を取り出しているゆかりん。それ常備してるのか……?


・みほが帰省するシーン。「学校の友達です」「そう」完璧に気づいてるよなこれ(笑)。この後で大洗のお土産まで置いていってるし……。


・みほの部屋の隅にリボンのかかったパンツァーファウスト(?)っぽいものが見えるんだがあれはいったい。それと、実家の部屋にこれだけボコが残ってるということは、今の部屋にあるボコはほとんど引っ越してから買ったものってことだよな……。


・またしても新聞記事のシーンは確認できず。なんか、プラウダと継続で戦車がどうこうっていう記事があったような。


・会長が誓約書を取り出した瞬間のしほと蝶野の「やってやったぜ」という表情が(笑)。


・しほが島田流を訪ねるシーン。例の本棚は「本当にあった怖い戦車」以外タイトルが見づらいが、「戦車と私」「戦車の料理」? みたいなタイトルが見えたような……。


・カメラがアリスの部屋に移動した瞬間、ボコのおままごとセットみたいなのが映るんだけど、部屋の中には確認できないのでシルバニアファミリー的なかなり小さなものなんだろう。高校生のみほの部屋はぬいぐるみだらけなのに……。


・みほは実家にいた頃、島田流のことをまったく気にしてなかったんだろうか? 「大学選抜と試合」と言われた時ゆかりとみほの表情だけが厳しくなってるのに、アリスの顔は知らないんだよな……。


・試合の話が出てから場面転換があっという間なんだけど、体育館は大洗にあって、その後殲滅戦と聞かされるシーンは(あちこちで予想されてる通りなら)苫小牧。茨城から北海道まで移動してることになる。ところで、戦車はどうやって運んだんだ。フェリーに載せられるのか、あれ……?


・試合前のみほの「今度ばかりは……」という台詞。これ口元がはっきり動いてるから心情とかじゃなくて独り言なんだよな。対戦相手の前でいきなりぶつぶつ呟き出すって、アリスもさぞビビッたことだろう。


・今回見直して思ったのは、これ恐らく戦犯()は三副官。たぶんルミだと思うんだが、誰の発言かはっきりとは特定できなかった。
 前に紹介したTogetterのまとめを見てて、大学選抜戦で前半あれだけ苦戦してたのに後半パーシングが次々撃破されたことについて色々考察されてたけど、いまいちしっくりこなかった。作劇上の理由? いやいや、この監督&脚本は、裏づけのない突拍子のない展開は(少なくともガルパンにおいては)しない人たちだ。
 そこに注意しながら観てたら、キーワードっぽい台詞が出ていた。
 観覧車の直前、大洗の車両を包囲したところで、先の副官の一人がこう言っている。「後は私たちに任せてください」と。で、実際これ以降、歌い出すまでアリスは一切指揮をしていない。


・考えてみれば当たり前の話で、アリスにしてみれば自分が隊長とはいえ相手は年上で先輩だ。その先輩が「自分たちに任せろ」と言っているのにしゃしゃり出て指揮をしたら「お前らを信用していない」と表明したことになってしまう。しかし、アリスが指揮をやめてからパーシングは立て続けに撃破されているのだ。アズミ・ルミ・メグミがプライドを捨ててもっと早くアリスに助けを乞い、指示を仰いでいたら……?


・また、大学選抜チームのチーム特性もあると思われる。このチーム、選抜チームという性質上、恐らく選抜チーム全体という単位でしか試合をしていない。指揮系統は全て大隊長であるアリスに直結しており、アズミ・ルミ・メグミはアリスの指示通りに指揮下の中隊を動かしているだけで、ほぼ自律的な判断をしていない。*3
 この特性は、前半の大隊規模で指揮が取れるシーンにおいて恐るべき効力を発揮している。大洗の大隊長、各中隊長の裏を掻き、昨年度高校優勝チームのプラウダ重戦車を最低限の犠牲で潰してみせたのはさすがの一言。援軍に向かおうとした各分隊を的確に牽制して無力化している。アリスはこの試合において常に攻め手でありながら、その策は受動的で、みほの作戦に柔軟に対応することでこれをほぼ潰しきっている。前半の山頂争奪戦、後半の包囲戦。彼女は決して無能な指揮官としては演出されていない。


・と同時にわかるのが、アリスが各中隊長に指揮を出すシーンで「陽動だ、させておけ」とか「取らせておけ」とか、結果しか指示をしていないことだ。まほやダージリンが事あるごとにみほの指示を仰ぎ、みほが常に「○○が××だから△△しましょう」と指揮するのとは対照的である。恐らく天才ゆえに「理由を説明する必要」を感じていないのだろう。それが続くシーンで裏目に出る。


・アリスが指揮をやめ、各中隊長に指揮を任せたところで、大洗女子学園援軍チームと違い、普段独立した中隊単位で行動していない選抜チームはまともな戦術行動が取れない。アリスの意図も伝わりきっていないし、中隊同士の横の連携も取れていない。それが「敵を圧倒していたにも関わらずあっという間に劣勢に」という展開の原因だ。バミューダアタックを「いつもどおりの」と言っているということは、これまでの相手では劣勢に立たされることがあったとしても、アリスと三副官の力量で何とかしてきたのだろう。実際、今回の試合でも4輌で18輌(20輌という説も)を撃破している。これだけの力量があれば、殲滅戦においてはチームワークなど不要かもしれない。しかし、指揮車両の役割を考えれば「中隊長が自分たちの車両三輌でコンビネーションアタック」という戦法そのものが本来は望ましくないはずだ。このことに思い至るまでは三副官の「ここで隊長に泣きつくなんて」という台詞も今ひとつよくわからなかったのだが、これでストンと落ちた。


・反対に、大洗女子学園チームの側はまさに急造チームだが、普段はバラバラに動くメンバーの集合体だ。ゆえにある程度それぞれで自律的な判断も単独行動もできる。だからこそパーシングを遊園地に引き込んで少数対少数の構図を作ってしまえば勝ち目が出てくる。


・あと今回確認したかったことは、クラーラは犬死だったのか、だ。これ、結果的には犬死どころの話じゃなく、彼女があそこで斃れていなければ大洗女子学園は負けていた。
 こういう流れだ。まず前半。「ひまわりチームがカールの攪乱とパーシングの追撃を受け、全員は逃げられないとクラーラが悟る」→「パーシングを食い止めるために残る決意『カチューシャ様が生き延びれるなら嫌われても結構!』」→「しかしカール砲撃の直撃を受けクラーラ車大破」→「クラーラの意思を継いでノンナとニーナがパーシングへの盾になる」→「両者大破するがカチューシャは逃げ延びる」。
 そして後半。「中央広場へ向かうメグミ・ルミ・アズミのパーシングに速度差で大洗女子車両が引き離される」→「レオポン車が改造モーターを使って追いすがる」→「スリップストリームでついてこいと提案するがエリカには意味がわからない」→「カチューシャは瞬時に意図を察してレオポンの真後ろにつく」→「3輌がかりでメグミ車を撃破」。
 クラーラの犠牲がなければノンナやニーナにカールの砲弾が命中し、パーシングを抑えきれずカチューシャもそこでリタイアだったかもしれない。そうなったらレオポンの意図はエリカに伝わらず、ルミ車を撃破することもできず、西住姉妹も負けていたかもしれない。


・もうホントに、伏線はこうやって張れっていう見本のような展開の連続だ。ノンナの「あなたはこの試合に必要な方です!」、エリカの「急造チームでチームワークぅ?」からのレオポン&カチューシャ&エリカのルミ車撃破で、これに繋がるエンディングでの「エリカのカチューシャ肩車」なわけですよ。誰一人欠けても大洗は勝てなかったっていう……。あかんまた泣けてきた(笑)。


・最後にアリスとみほの間に割って入るヴォイテク。よく見ると結構前から動き出している。で、双方の動きが一瞬止まるが、わずかに早く反応して動き出すのはみほの方。


・例のエンディングカットイン。アンツィオチームでペパロニだけパスタを食べている。どっから出したその材料(笑)。


・最後、まほとみほが対面するシーン。台詞はないが……「大洗はもう大丈夫だろう。黒森峰に帰ってこないか?」「ううん。みんなもいるし、私は大洗に残る」ってなやり取りなのかな、やっぱり。


・継続高校チームって、最後大洗が祝福される場面をテレビで見守り、自分たちは川を下っていって終了。スタッフロールにも出てこない……。
 しかしこの映画、ホントに「戦車道は人生の大切な全てのことが詰まってるんだよ。でもほとんどの人がそれに気づかないんだ」「何よそれ」から「戦車道には本当に人生の大切なことが詰まってるね!」「だろう?」に至る物語だったな……(ハンカチを絞りつつ)。

*1:もっと言えばガルパンについてあれこれ勝手なことを言われたことに対する洒落た反撃。

*2:自己紹介ドラマより。

*3:数少ない自律的な判断を行う場面の一つが、ルミが大隊全体に「遊園地へ向かう」と指示するシーンだったりする。これは本来、形式上であっても大隊長に指示を仰ぐべきシーンのはずで、選抜チームの指揮系統の不安定さを示している。