銀幕少年(後編)

 さて、思い出と共にある第3の映画、ゴジラ。これにはハマった。昨日のエントリに書いたが、私の世代はウルトラマン谷間世代。ゴジラは数少ない円谷系の特撮物だった。

 当時まだレンタルビデオはないか、あっても私の家にはビデオデッキがなかった。繰り返し見ることはできなかったので、関連書籍を貪るように読んだ記憶がある。今にして思えば、たまたま最初に見たゴジラが初代に次ぐ名作と呼ばれた1984年度版だったのは幸運だった。というのも、その前も後もアレな作品が揃っているからだ。
 個人的には、そもそも怪獣対怪獣という構図が好きではない。ヒドラビオランテデストロイアも、ゴジラを出さずに単体で作品にすれば悲哀の滲むいい作品になったんじゃないかと思っている。ゴジラと別の怪獣が戦うのに必然性があるのは、たぶん、最初から島の守護神と設定されているモスラくらいじゃないだろうか。
 話が逸れた。1984版のゴジラは、私にとって最初のゴジラだというのもあるが、シンプルに初代ゴジラの面白さを再現していて面白かった。結末が「ゴジラを斃す」ではなく「火山に追い落とす」だったのも、ジョジョ第2部のラストと同じく、人智の及ばぬ存在を、地球そのものの力を借りて何とかする、というイメージで「ゴジラを人間の手で斃せるのはオキシジェン・デストロイヤーだけ、という一線は越えない」という、初代ゴジラへのリスペクトが感じられた。



 マーベルシネマティックユニバースとかに慣れてしまった目で今予告編を見ると「ゴジラの特撮ってこんなにショボかったっけ……」と思ってしまうが、当時はこれでも十分すぎるほど凄かったのだ。しかし、こうして見ると、予告にはスーパーXって全然出てなかったんだな……。

銀幕少年の終焉

 さて、1984年にこれだけ映画にハマった少年は、この後受験を挟み、試験勉強から解放されても、そのまま映画にどっぷりと浸ることはなかった。それはひとえに、下の作品のためである。


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 その時の体験については、こちらに書いたとおり。この時は「今なら別の感想が〜」と書いているが、最近見直そうとしたらやっぱり全く受け付けず、トラウマ体験というのは強烈なのだと思い知った。スチームボーイは普通に劇場で観れたので、監督がどうこうとかそういう問題ではないのだろう。


 なお、私が次に劇場で見た記憶のある映画はパトレイバー2なので、さらにその5年後。もう少年とは呼べない年齢になってからのことである。