懐かしく新しい


 さて、一回延期してしまったけれど、今度こそ「さらば青き光」の感想を。
 一読して、最初に浮かんだ感想は「かわたなさんらしいセッション(リプレイ)だな〜」というものだった。


 かわたなさんといえば“火星人”ことカーロスのプレイヤーの印象が記憶に新しいけれど、ログアウト連載だった頃からSSS(シノハラセキュリティサービス)の職員としてゲスト出演していたくらいで、N◎VAの顔触れの中では、どちらかといえば古株というイメージだ。
 冒頭のインタビューでも、最初に書いたN◎VAのリプレイがRPGマガジンに掲載された“あの”「支配者の逃亡」で、今回の別冊で執筆したのが二本目だと答えている。
 
 リプレイについては、ネタバレとなるため詳細は避けるが、「ダブルハンドアウト制」で「PC1やPC2の設定が大きな鍵を握るシナリオ」と言われれば、慣れている人なら「ああ、そういうシナリオか」とだいたい方向性はわかってもらえると思う。
 私も、Rに触発された直後、中村やにおさんに初めて会った頃に組んでいたいくつかのシナリオは、やっぱりPC1やPC2のバックグラウンドが重要なファクターになるシナリオだったし、仲間内や知り合いのシナリオでも似たようなのを見たことがある。


 一言で言えば「実は君は○○だったんだよ!」というシナリオである。


 ただ、当時はダブルハンドアウト*1アクトトレーラーなどという偉大な発明はまだなく、指定スタイルやキャラクター作成時の打ち合わせなどで“それとなく匂わせる”くらいしか方法がなかったのだけれども。
 巧く嵌まれば非常に受けるけれど、失敗したときの惨状も容易に想像できるので、割と緊張するタイプのセッションだった。
 
 で、どうしてこれが「かわたなさんらしい」という印象になるかというと。先輩とも昔話したことがあるが、この「重要な鍵を握る役割」「実は○○」という立ち位置を、PCに割り振ることが最近は(といっても何年も前だが)割と少ないからだ。今だとその役割をシナリオヒロイン(しつこいようだが女性とも人間とも限らない)に担わせることが多い。N◎VAだと「スリードッグナイト」、他にもアルシャードガイアリプレイの「君といるセカイ」だとか「神の贈り物」なんかが非常にわかりやすい。ちょうど、N◎VAがRからDになった頃からそういう傾向になってきた気がする。





 なぜかといえば、これはひとえに、PCに対してこれをやるとキャラクター作成やセッション中のロールプレイの縛りが強くなるからだと思う。今回のかわたなさんのリプレイも、セッション前に相当綿密に打ち合わせしているという印象を受けた。

 ただ逆に言えば、ちゃんと工夫すれば、今でもあの頃のようなセッションを行うことは十分に可能だ、という意味でもある。むしろ、その後導入された色々なルールを駆使すれば、遥かに無理なくセッションを進行できそうだ。そういう意味でも、非常に興味深いリプレイだった。


 なお、私自身その頃のセッションで非常に深く印象に残っているものがあるのだが……それについては、また別のエントリに譲ることとする。

*1:余談だが、今回のインタビューで社長が「ハンドアウトを最初に導入したのはN◎VAではない」と正確に記憶しているのはさすがだと思った。最初に導入されたのはブレイドオブアルカナのSSSである。