これは最悪だわ

「ネットがない頃ってどうやって勉強してたの?」 女子高生が語る、今どきのテスト勉強法 (1/5)


 今までこのシリーズの記事を、内心で突っ込みつつ読み飛ばしてたんだけど、中でもこの記事は最悪かも。
 誤解のないように最初に言っておくと、私はネットを勉強に使うべきではないとは思わない。意欲があるのであれば、身の回りにあって利用できるものは何でも利用するべきだ。

 では、この記事のどこがマズいかというと「インターネット上にはフェイクニュースをはじめとした偽情報が数多くあり、そのことについて父親が一言も指摘していない」こと。そもそもこのシリーズ、父親が娘にITリテラシーについて教えるシリーズだと思ってたんだけど「勉強にネット使ってます」「ふーん、すごいねー」で終わりじゃリテラシーもクソもなく、父親が存在する意味がない。
 もちろん、教科書会社も教師も無謬ではないから間違いは犯す。ただ、その間違いについては、給料や代価の範囲で責任を取ってくれる。しかし、ネットの無料記事(だよね?)は、誰一人として責任を取らない。Wikipediaですら、医療関連の情報の9割が間違いだなんていう説もあるくらいだし、Youtubeがウソだらけであることは彼ら自身も認めている。本人が「ネット上の専門情報」と信じて、例えば「アポロは月に行っていない、あれはキューブリックが撮影した」とか「水に話しかけると変質する」なんて情報に辿りつき、それを科学的、あるいは歴史的事実として「学習」してしまったらどうするのか。
 「インターネットには怪しい情報もいろいろあるから、ネットで学習した内容は他のメディアで裏を取ること。もしくは少なくともそれを心がけること」と付け加えるのは、それほど難しいことではないはず。「ネットで見つからない情報なんてない」「情報ソースの信頼度ナンバーワンはネット」と断言し、それを「趣味」ではなく「学習」に適用してる時点で、傍目にはこの本人、ITリテラシーの観点から見ると「かなりヤバい域に踏み込みつつある」気がする。それに一言釘を刺すのが父親として(大人として、というべきだろうか)の最大にしてほぼ唯一の役割のはず。それすらしていないのでは、この記事の存在価値はゼロを通り越してマイナスだと思う。