これは……

“FFT黒本”「小数点以下の確率で盗める」18年目にして驚愕の事実発覚か 「スクウェアが資料にうそを入れた」


 これって「もう時効だからアハハ」で流していい話なのか。
 といって、単純にどちらが一方的に悪いって話でもないんだけど、まずスクエニ側の問題は「攻略本作成のために開発資料を渡している」のに「検証してないことに腹を立てる」のはアリなのかって話。元々裏づけとして内容は検証する前提で渡しているのならエンブレが悪いが、そうでなければ普通は「渡された開発資料は正しい」という前提で本を書くだろうし、一方的にそれを破るのは信義則に反する。「人の作ったコンテンツで勝手に儲けやがって腹立つ」と思うなら資料を渡さなければいい。あるいは資料から重要なデータだけマスクすれば、その攻略情報は売れないか、望みどおり自力で検証しなければならなくなるはずだ。ウソデータを渡し、それがそのまま攻略本になったら、迷惑を蒙るのは出版社ではない。ユーザーだ。その程度の想像力も働かなかったのか? しかも今になるまでだんまりを決め込んでいたのは、自分たちでもまずいと思っていたからではないのか? という話。
 逆にエンブレ側の問題は、開発資料を貰って攻略本を作成しておきながら、あたかも自力で攻略しているように売っていたことだろう。「この攻略本はスクウェア・エニックスの開発資料を基に作成しています」と銘打ってあれば、今も伝わる悪評が定着する前に「開発資料が最終版と異なっていたため実際のゲーム内容と食い違ってしまいました」とでもなんとでもエクスキューズできたはずだ。
 
 どうしてこれが流していい話と思えないかというと、両社の姿勢はこの当時とぜんぜん変わっていないように見えるからだ。
 まずスクエニだが「DQXの攻略本作成でツールを使った」という前科がある。「自社内ですらちゃんと開発資料を渡していない」ひいては「開発チームが攻略チーム(つまり出版チーム)を軽視する」姿勢からこういう事態が起こったのだろう。また、都合が悪いことはだんまりを決め込む体質が旧FF14の大失敗やCOD4の誤訳騒動、ハイスコアガールの事件に繋がったのは言うまでもない。
 逆にエンブレは、ニンテンドーダイレクトに対してファミ通編集者が暴言を吐いたように、相手のコンテンツを使ってビジネスをしていながら相手に敬意を払わず、むしろ俺たちが宣伝してやってるといわんばかりの姿勢が根底にあって今も改善しておらず、それが反感を買ったことは十分に考えられる。また、記事を執筆するに当たって“文責を明確にしない”方針が、後々の「赤だけかな最悪は」や「今回の記事はグラフを提示したところで8割終わっている」事件へも尾を引いている。


 いやはや、どっちも「時効だからアハハ」とか笑ってる場合ではないと思うのだが……。