家庭用で出してよ……


 過去、何作かのアトリエシリーズを──黒歴史となった作品も含めて──プレイした身として、ソーシャルゲームになったアトリエシリーズがどんなものなのか、期待もこめて、一度触って確かめてみようと思っていた。


 結論。これ家庭用ゲーム機で出してよ……。


 ゲームとしては悪くない部分もあるんだけど、それがことごとくソシャゲ的な部分と噛み合っていない。そういう意味ではアナザーエデンへの印象に似ている(サービスイン直後のゲームと最悪の裏切りをやらかしたゲームを同列に扱うのは失礼だろうが)。
 アナザーエデンについてはまた改めて毒を吐かせてもらうつもりだけど、とりあえずこちらの話。

キャラガチャじゃなくて装備ガチャ?

 アトリエオンラインは、ガチャからキャラだけでなく装備も排出される。というより、ほとんどが装備である。私は開始時に配布される(キャンペーンのものも含めて)全部のリソースでガチャを回してみたが、キャラは一人も出なかった。攻略サイトを巡ってみると、キャラをガチャで引いても限凸しないとレベルが上がらないと使い物にならないそうで、リセマラを狙うなら装備だとか書いてあった。
 しかし、ミトラスフィアのように自キャラをアバターとして作成できるわけでもないのに(男女しか選べない)、装備狙いでガチャを回すのはなかなかモチベーションに繋がらない。マリーたちも出るらしいとは聞いたのだが……。
 しかも、ゲームを始めたら、パーティメンバーは最大で4人。装備スロットは一人7箇所ある。つまりガチャでいい装備を引いたとしても、パーティ全体の戦力から見たら28分の1でしかない。ここもモチベーションが上がらない理由だ。

歩きにくい……

 また、アトリエオンラインは通常のフィールド画面が存在し、画面をフリックするとその方向にキャラが移動するというシステムである(アナザーエデンのように左右のみでなく、上下左右に動ける)。さすがにバーチャルパッド式ではなく、画面のどこをフリックしてもフリックした方向に自キャラが歩いてくれるものの、画面をタップしたらタップした場所に向かってオート移動してくれるというシステムがない。
 このゲーム、画面に採取ポイントが表示されていて、そこに向かって移動するという動きが非常に多いので、画面をタップしてもそこに向かって歩いてくれないというのは非常に面倒である。コントローラなら苦でもない行動だが、フリック移動だと歩いてる途中で方向転換というのがやりにくくて仕方がない。その割に、開始直後から「川に向かって下る」「森に向かって進む」の分岐点で微妙な斜め移動を強いられるのだが……。
 歩くために画面をフリックするということは、ながら作業を許さないゲームである。常に画面を注視して画面をフリックし続ける必要があるからだ。それも、本体据え置き推奨だ。持ったままフリックで移動するのはかなり大変だろう。タブレット向きとも言える。ただし、画面が縦固定ではないこと、バトルがオートバトルで進められるようになっている点については評価できる。

朝露は朝しか取れない

 次に、採取システム。アトリエオンラインではスタミナが廃止されており、好きな時に好きなだけ遊ぶことができるのが売りだ。遊べちまうジョジョASBなんかより、よっぽど普通の家庭用ゲームに近い。ただ逆に、普通のアトリエ系ゲームのように、ゲーム内の特定の時間しか取れないアイテムなんてのが存在する。それも本当の序盤、開始直後のクエストに必要なアイテムだ。カエルやウサギが必要な時にいなくてイラついた人もいるのではないだろうか? これもスキマ時間に遊ぶには適さないシステムである。
 そして、まだ本当に最初の数時間しか遊んでいないので断定できないのだが、ガチャで装備を引いたときに「レシピを手に入れた」と表示されるのが気になる。これはつまり、ガチャでしか入手できないレシピが存在するということか? そう考えると調合もなんだかモチベーションが上がってこないのだが……。

まとめ

 画面構成とか、細かい部分は結構いい。2Dがベースになっているのも、素材を採取するために画面をグルグルさせなければならなかったリディ&スールより、昔を知る人間には優しい。
 それだけに、これまでのアトリエになかった「ガチャ」という要素が、既存のアトリエ的な要素を適合不全を起こしているような気がしてならない。せめてこれがSwitchで出ていれば、たとえガチャがあったとしても、移動のストレスが軽減されるだけでも、かなり印象が違ったと思うのだが……。それだけに惜しい。

 今度アナザーエデンのエントリで書くつもりだが、デバイスには相性というものがある。スマホに最適化されたゲーム、ソシャゲで面白いゲームと、家庭用ゲーム機向けとして面白いゲームとはまったくの別物なのだ。