気を抜くと死にます


 こういう、一瞬でも気を抜くと死ぬ系のコース多いんだよな……。

名前が共通しているということは……


 前にこのシリーズで、ファザナドゥを作るにあたってザナドゥの資料がなかった的な話があったけど、敵の名前や外見が共通してるということは、少なくともその辺の資料はあったということなんだろうか。

レイアウトが変わると……


 今、古いTRPGがマイブームなので、思わずこれを買ってしまった。同じ翻訳元から出ている「タイタン」や「モンスター事典」が「復刻版」なのに対して、この本はかつて社会思想社から1冊目が出ており、これがシリーズ2冊目、ということになる。もちろん1冊目をまだ持っているから2冊目を買った(逆に前述の2冊は復刻前を持っているという理由で買わなかった)わけだけど、一読して違和感を覚えた。
 前のシティブックは普通の街(山?)、今回の2は港町という違いはあるが、基本的なコンセプトに違いはない──と思っていたが、読んでみると前作は「TRPGに登場する色々な街に使える様々な施設のアイデア集」、今作は「ゲームタイトルを特定しない、ファンタジー世界のとある架空の港町一つの設定集」に見えたからだ。
 一通り読み終えた後、自分の受けた印象を確認するために、もう一度社会思想社のシティブックを読み直した。ずっと昔に読んだきり、記憶があやふやだったようで、章立てや構成は今回の2と大差ない。すると、私が読んだ時に受けた印象の違いは何なのか。

 前作から受けた印象と、今作から受けた印象の違いを簡単にいうと「全体がバラバラに見えるか、一つに見えるか」というものだ。しかし、章立てにも構成にも大きな違いはないとすると……。
 両方をしばらく読み比べた私の結論は「版型の違いによるもの」だった。
 シティブックは前書きにも書かれている通り、その設定をワンセットで使うことも、バラバラで使うこともできるように、施設ごとの設定が緩やかに繋がっている。前作は文庫本であり、私はこれを時間をかけて読んでいたため、緩やかな設定の繫がりの多くに気づかず、バラバラな設定の集合体として受け取った。しかし今作はB5サイズ、それも時間をかけずに一気に読んだため、設定の繋がっているところははっきりとわかったし、読み返すことも容易だった。
 版型の違いで読む者に影響があること把握していたつもりだが、改めて考えるとなかなか興味深い。

この本の見どころ、使いどころ


 ちなみに、この本自体がお勧めかどうかというと──アイデア集としては面白い。しかし前作同様、特定のゲームシステムのために作られていないため、自分のキャンペーンで使うには一工夫必要だ。
 面白いのが、フライングバッファロー社の本でありながら、同社のTRPGであるT&Tでも再現できないという点だ。特に魔法関係の設定は細かく系統分けされた上で個性づけされている。これを忠実に再現できそうなのはAD&Dの2版くらいじゃないかと思うので、割り切るか手を加えないと使えない。神殿関係の設定もすり合わせが必要だろう。
 タイタンやガゼッタほどにハチャメチャな楽しさがあるわけではなく、アリアンロッドトラベラーズガイドほど使いやすくもない。ただし、収録されている施設に「帆布店」や「釣り餌屋」「税関」といった、他ではまず見かけないタイプのものがあるのは注目に値する。

 あと役立つのは施設ごとの見取り図だろう。先に挙げたTRPGのサプリメントの多くが、町のマップはあっても建物の見取り図がないのに対して、この本には施設ごとの見取り図が収録されている。事前にマップを用意できなかったような場合でも、この本から類似の施設をコピーすれば使えるというのは便利だ。あるいは、自作する場合の参考にするのも悪くない。