ソニーもさすがに2020年にもなって、汎用部品を使ってるはずの初期ロットがボロボロなんてことはないだろうと思ったら……甘かったな……。熱暴走が原因かとも思うけど、オーバークロックが原因じゃないかなんていう説もある。もしそれが本当なら、ユーザーにはもうどうしようもない話だ。
また省電力型とか薄型とかの改良版待ちになるのか……。
スパイクドチェイン文明の興亡
先日のCD&D絡みのエントリを書くために色々調べていたら、面白いものを見つけた。
まさか2020年になってスパイクドチェインの名前を目にすることができようとは……(笑)。
この間も書いたので繰り返しになるが、もう一度機会攻撃について説明しておこう。
時として、戦闘の参加者もガードを下げ、普段より防御が甘くなってしまうことがある。このような場合、近くにいる者は防御の隙を突いて自由に攻撃することができる。これを“機会攻撃”という。
これは3版の記述である。移動だけでなく、呪文の発動や弓矢など遠隔武器での攻撃もここでいう「防御が甘くなる時」であり、機会攻撃を誘発する行動となる。マイナーな行動では「敵に止めを刺す」のも機会攻撃の対象だ。この攻撃は、本来の自分の手番で行う攻撃には含まれない。
前スパイクトチェイン文明の勃興でした。これを基本として、いくつも強烈なキャラが現れたのですがそれを語るには140文字は短すぎる……。
— 柳田真坂樹 (@D16) April 8, 2020
ちなみに柳田さんはD&Dの日本語翻訳チームの一人である。
柳田さんの一連のツイートで述べられていない重要な要素(140文字で収まらない要素)が、武器の間合いの要素だ。これが「スパイクドチェイン」なる武器が猛威を振るった理由でもある。
前回書いたように、機会攻撃というルールが導入された理由は、前衛が前衛として機能しないという状況を覆すためと考えられる。3版より前のルールでは、前衛が後衛の壁になることができなかった。敵がたやすく味方の前衛の脇をすり抜け、後衛に殺到するようでは前衛の意味がない。
機会攻撃のルールを採用すれば、こうなる。
│ 〇 〇 │
│ □■■■□ │
│□▲▲▲□│
敵(〇)が味方の前衛(■)の脇(□)を通り抜けて味方の後衛(▲)まで来れるのが2版までのルール、□を通ろうとすると機会攻撃されるのが3版以降のルール。武器の間合いを考慮すると、実はこんなカバーの仕方もできる。
│ 〇 〇 │
│□■□□■□□■□│
│□▲□□▲□□▲□│
横幅45フィートの部屋までは、前衛3人でカバーできる。前衛の列の空白(□)どこを通ろうとしても、3人の誰かから機会攻撃を受ける。しかもそれは「移動に割り込んで」処理される。もしそれが特技「足払い」を使った攻撃であれば、ダメージを与える代わりに敵は「伏せ」状態になる(転倒する)ので、移動も阻止できる。
では、前衛の持っている武器が(3.5版までの)スパイクドチェインだった場合はどうなるか。スパイクドチェインは間合いが2、つまり自分の周囲8マスだけでなく、そのさらに周囲16マスも攻撃対象になる。上の図だと、前衛と前衛の間のマスを通ろうとすると左右どちらの前衛からも機会攻撃を受けることになる。
さらに、その前衛が「足払い強化」を習得していたらどうなるか。その効果は「足払いに成功したら追加攻撃ができる」である。本来攻撃の手番を捨てるはずの足払いで、通常の攻撃も可能になる。ここで重要なのが「足払いを受けて伏せ状態になったキャラクターが立ち上がろうとすると、機会攻撃の対象となる」ということだ。もし前衛が「迎え撃ち」を習得していたら、1ラウンドに可能な機会攻撃の回数も増加するため、足払いを受けて転倒した時点で追加攻撃、立ち上がった時点で機会攻撃、最初の足払いを含めると3回の攻撃を受けることになる。
しかも、立ち上がる際の機会攻撃は最初に攻撃したキャラクターのみに限られないので、上記の場面であれば左右の前衛両方からもう一回機会攻撃を受けるのだ。
この間合いは、大型や巨大なクリーチャーである場合、さらに広がる。本来、体のサイズが大きいことが有利に働くのはモンスターだ。しかしここに、PCとして選択可能で大型のクリーチャーに相当するハーフオーガという種族がいる。加えて、大型のクリーチャーが大型クリーチャー用に作られたスパイクドチェインを使う場合、間合いはさらに広がるというルールがある。
そうすると、武器の間合いは半径4マス、合計9×9-1で80マスというとんでもない範囲に広がる。上の図にある横幅45フィートの部屋がもし正方形をしていたら、部屋全体が射程範囲だ。前衛が3人ともハーフオーガのスパイクドチェインの使い手だったら、部屋の中のどこかで敵が弓を撃とうとした瞬間、あるいは呪文を使おうとした瞬間、6メートル先の前衛からスパイクドチェインを使った足払い攻撃が飛んできて、転倒した瞬間追加攻撃を受け、立ち上がった瞬間機会攻撃が飛んでくる。しかも、また足払いを受けた場合、このループを再度繰り返すことになるのだ。まさに「まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ」である。
恐らくこれが、柳田さんが140文字で書ききれなかった事情の一部ではないだろうか。
ただ、一つだけお断りしておくと、私はこのスパイクドチェインが猛威を振るった3.5版ではD&Dをあまりプレイしていなかった。上記のエピソードは、当時D&Dをプレイしまくっていた剛の者から面白おかしく聞いた話を、ルールブック及び本国のFAQなどから再構成したものであり、もしかしたら細かい部分でルールの解釈などが異なるかもしれないのでご容赦いただきたい。
結局4版ではこのスパイクドチェインの間合いは短くなり、5版では遂にルールブックから消えてしまったので、スパイクドチェイン文明の栄光は3.5とともに滅び去ったのである。