ついにレア体質の人が現れてしまったかー。最後に回された理由がわかる気がする(笑)。
盗賊都市じゃなくて海賊都市
ポート・ブラックサンド (アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版)
- 作者:スティーブ・ジャクソン,イアン・リビングストン
- 発売日: 2020/11/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
という訳で、年末も取り上げたこのサプリの話を。
社会思想社版の展開が終了してから本国で発売され、ファイティングファンタジーファンとしては「名前だけは知っていた」サプリメントだ。ポート・ブラックサンドというからには、あの謎めいたアズール卿がメインの陰謀劇とか、そういう本だと思っていたら……。
いきなり冒頭から、海賊を遊ぶためのオプションルールである(笑)。
この本を通しで読んで、改めてアズール卿が海賊だったことを思い出したくらいなのだけど、このサプリメントの「データ」としての位置づけは、海賊のためのルール、都市作成のルール、火器を使用するためのルールである。これらはこれらで役に立つデータだとは思うものの、「ポート・ブラックサンド」というタイトルから想像したものとはちょっと違っていた。
この本は推理小説ではないし、添付シナリオのネタバレにも当たらないので、ここではっきり書いてしまうと──「ポート・ブラックサンド」にはアズール卿のデータはおろか、側近のデータすら1行も載っていない。
これは、この本に何を求めるか、という話になるが、「ポート・ブラックサンド」はシナリオフック集である。これだけを持って、シナリオを用意せずにコンベンションに参加し、いきなりセッションをやるのは無理だ。あくまでも自分でシナリオを作るための題材集である。実データは前述のルール部分であり、「ポート・ブラックサンド」の章にはシナリオはおろかデータ自体ほぼ掲載されていない。
経緯がよくわからないが──例えば、アズール卿が実際に敵として登場するゲームブックが本国で出ているなら、サプリメントに掲載したらネタバレになってしまう──モンスター事典よりはタイタンに近い本であり、読んでいると想像力が刺激されるものの、データは自分で作る、そういう本である。それを承知の上で買うべき本だというのが私の印象である。