随分間が開くな


 え、フロントラインからニンジャウォーリアーズ……? 随分間が開くな。
 ──って、それでもたった5年の話なのか!

嫌な予感がする

news.denfaminicogamer.jp


 時期が明言されない辺り、なんか嫌な予感がするな……。

コロコロ少年の思い出(31)・イースクロスレビュー

 昨日のイースTRPGの話の続きである。

 実は、イースTRPGがプレイヤーに抵抗感を持たれたのには、もう一つ大きな理由がある。今日はその話をしよう。
 ガチ目の、あるいはちょっと昔のゲーマーなら「ファミ通クロスレビュー」をご存じの方は多いだろう。ここでは説明は割愛しリンク先に譲るが、かつてTRPGにもクロスレビューが存在したことを知る人は、今や少ないかもしれない。
 掲載誌はファミ通の姉妹誌の姉妹誌にあたる、今はなき「ログアウト」の第5号。テーブルトークRPGの特集号である。逆に言えば、この1回だけしか掲載されなかった。なので知名度は恐らくそれほど高くないだろう(ググってもツイートが一つヒットするくらいである)。
 このクロスレビューイースTRPGとどういう関係があるかというと、レビュアーの一人(T氏)*1イースTRPGの制作に関わっているのだ。というのも、記事中で自らそのことに触れているのである。

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 この姿勢自体は、もちろん間違いではない。それどころか、本来あるべき姿である。しかし、それは雑誌掲載前に編集部と調整するべきことであって、誌面に載せるべきことではない。何故なら、残り二人のレビュアーが「TRPGデザイン会社の代表」と「元TRPG専門誌の編集長、現TRPGデザイナーグループ勤務」という人物だからだ。この二人は普通に自分(あるいは利害関係者)が関わったゲームをレビューしている。上の姿勢を貫くなら、全員がそうするべきだろう。
 そしてT氏は、クロスレビューで他社製品に軒並み低得点をつけまくっているのだ。
 歴史あるファミ通クロスレビューでも、2点がつくことは稀で、1点は過去に例がない、と言われる。ところがT氏のクロスレビューは、この一回だけで1点の作品が2タイトル、2点の作品が7タイトル、3点の作品が9タイトルも存在するのだ。レビュー対象は55タイトルで1つを棄権しているので、18/54。3分の1に3点以下をつけていることになる。
 しかも、なんとあの日本で一番売れたTRPG(自称)のソードワールドRPGが2点である。ガープスメタルヘッドウォーハンマーが軒並み3点だ。


 先に見つけたツイートは、TRPGクロスレビューをまたどこかでやってほしいというニュアンスだったが、これは最初から成立していなかった。だから続かなかったと私は思っている。TRPG業界は狭いので、それなりに知名度のあるレビュアーを連れてくれば大抵TRPGのデザインに関わっているし、関わっていない人を連れてくると「誰それ」という話になる。制作に関わっていない中立的な立場、というのがコンピュータゲームより難しく、単なる紹介を超えて点数をつけるとなると公正さが保てない。
 また、もう一つの問題がある。このクロスレビューは、アイデアやデータ、レイアウトや判定方法といった、ルールブックをざっと見るだけでわかる内容にのみ触れられているものが多く、実プレイの結果どうだったかという感想を書いているものは半分どころか5分の1もない。大半のゲームで実プレイが伴っていないからだろう。単純な計算で、55タイトルを1回ずつ遊ぶのにかかる時間だけでも、220~330時間かかる計算だ。レビュアーの一人は、あるレビューの中で「キャンペーンはやったことがない」とはっきり書いてしまっている。ファミ通クロスレビューではエアプレイと揶揄されたりするが、それと同じだ。
 それでいて、対象となるタイトルにはイサー・ウェン・アーやスモール・スティル・ボイスといった同人流通に近いゲームを入れておきながら、D&DもT&Tもファイティングファンタジーも含まれておらず、レビュアーの一人に「重要なタイトルなのに含まれていないので」と欄外で独自レビューを書かれていたりする。要するに企画そのものに無理があったのだ。


 話を戻そう。仲間内でイースTRPGに抵抗感があったもう一つの理由は、もうお分かりだろう。「人が作ったTRPGのことをボコボコに叩いておきながら、自分が作ったゲームがそれ?」という思いがあったからだ。しかも──

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 総評欄にこんなことを書いていながら、イースTRPGの版型はB5より小さい「A5サイズ」である。冗談のようだが本当の話だ(笑)。

*1:なお、ここでT氏について実名を挙げない理由は、最新の著作がかなり古く、現在も業界に関わっている創作者であるかどうかが疑問だったからだ。他のレビュアーは現在も業界人だが、公平さを期すため全員実名は伏せる。