虚ろな街

tgsvr.com


 さて、TGSVR会場で次回以降は是非改善して欲しいと思ったことがいくつかある。

 一つは、ゲームフロート会場とスカイ会場の関係性が分かり辛いということだ。双方の会場の位置づけは昨日書いたとおりだが、プラットフォームが異なるということは、スカイ会場でコスプレアバターを買っても、それをゲームフロート会場には持ち込めない。「え、それって意味あるの?」と思うが、どうもスカイ会場はNTTが提供するVR空間「DOOR」というサービスのTGS2001用オプションという形らしく、こちらでアバターを買うと、同社のサービスで使えるよ、ということのようだ。そういった位置づけなので、ゲームフロート側のサービスとが繫がりがないのだ。

 二つ目。私がこの会場を歩いてみて、最初に思い出したのは、前に書いた「AKIBA’S TRIP」の秋葉原の情景である。TGSVR会場はあまりにも人の気配が少なすぎる。


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 二人のアバターが映り込んでいる。この場所のこの場面以外、私はほとんど人に会うことがなかった。ログインする段階でサーバを振り分けられてしまうので、他の来場者に遭遇することがないのだ。
 もちろん、これが無料のサービスであることを考えると、他の来場者とコミュニケーションが取れるようにしろというのは無理がある。実際、友人と同じサーバに来るように調整すれば、ボイスチャットで会話もできるし、それで十分だろう──来場者同士のコミュニケーションという点に関しては。
 そうではなく、この会場を一つのゲームの舞台と考えた場合、TGSをガイドしてくれる係員のようなアバターはあちこちに配置されているが、パビリオン内に配置されているオブジェクトはほぼ喋らない。他の来場者を模したNPCアバターもほとんど配置されていない。


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 ここにいる「彼女たち」は微動だにせず、一切音も発しない。銅像のようなものだ。


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 こちらに至っては書割である。

 折角VR空間にVRキャラクターを配置しているのだから、ゲームの説明くらいはフレーバーで喋らせてもいいのではないだろうか。例え「ここはリムルダールの街です」だけでも、台詞を喋るというのとただ立っているというのとでは、かなりイメージが違う。
 なので、私のTGSVR会場に持ったイメージは「静かすぎる空間」だった。現実世界のTGSが人でごった返す空間だけに、落差が結構激しい。これだと、来場者に対して「TGSVRは人気がない」という印象を与えてしまいかねない。


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 しかし、このメッセージを見る限り、それなりの人数がこのVR空間を訪れ、楽しんでいるはずなのだ。それが他の来場者に伝わらないのは、あまりにも惜しい。これだけのコンテンツを無料で提供するという心意気は非常に評価できると思うので、次回は是非「賑やかな」TGSVRにしてもらえると、来場者もあの「お祭り空間」の空気を多少なりと感じられると思うのだが、いかがだろうか。