目立てばいいというものでは


 ドラクエ5のゲマは、リメイクで明確にストーリーが改悪された例の一つだと思う。上の動画で挙げられているとおり、あまりにもストーリーの改変点が自然すぎる。私が一番気になったのは、主人公と花嫁の2人を石化した後に放置して立ち去ること。あれは明らかに不自然な行動だった。
 少年の頃から主人公たちを侮っていたジャミを圧倒し、最後の最後でこれを打ち倒せるという瞬間に、捨て身の一撃を放ってくるというところが、また憎々しさがあるというか、一筋縄では行かない悪役というのを印象付ける出来事だった。リメイク後のストーリーを見るとゲマの印象だけが強くなって、それ以外のキャラクターは逆にインパクトが減ってしまっている。
 ゲマの立場の変化についても、オリジナル版の方が「あれだけパパスを苦しめ、主人公たちに仇為したゲマすら、それよりも上位に何人も存在する」というのが、敵勢力の強大さや威圧感、恐怖感を演出するのに大事な要素だった。リメイク版だと何でもかんでもデマが出ばってくる上に、ミルドラースの側近でイブールよりも上でしたとか言われると、敵組織が一気にスケールダウンしてしまう。あと、(ゲマにとっての)仲間を殺しまくるのも、冷酷さより浅はかさの方が先に立って見える。