GM持ち回りのキャンペーンについて、一昨日書いた記事を読み返してみたら、まるで鈴吹社長のキャンペーンよりもうまくいっていたかのようにも、また悪いのは全部ガンダム好きのプレイヤーであったかのようにも読めてしまうエントリだったので、件のプレイヤーの名誉のために、ちょっと事情を付け足しておく。もちろん、動画の中で社長が触れていたキャンペーンよりも、遥かに問題の多かったキャンペーンである。
前回のエントリで「プレイヤーたちの目的は、自作シナリオをマスタリングすること」といったが、より正確にいえば、自分の思い入れのあるNPCに、今で言う「俺ツエー」をさせるのが主目的だったと言っていい。
分かりやすい例を挙げよう。プレイヤーA君はAという国を担当しており、そこには「紅の将軍」という強力なNPCがいた。彼がマスタリングしていたシステムはWARPSファンタジーだけれども、有翼族で魔導騎士と賢者のマルチクラス、レベル15とかいうとんでもないキャラクターである(通常のPCのレベル上限はスーパーヒーローと呼ばれる10)。
それとは別に、ロードス島戦記のシステムでマスタリングするB君というプレイヤーもおり、Bという国を担当していた。
ある時、B君のシナリオで「領内に強大なドラゴンが出現した」という情報が出てきた。そして「その塒には強大な魔剣が眠っている」ともいう。B君としては当然、これは次のシナリオへの引きとして言及したつもりだったのだが、次の当番のA君のシナリオで、紅の将軍が何故か倒したドラゴンの首と拾ってきた魔剣を引っさげて登場したのである(笑)。もちろん、そのシナリオにプレイヤーとして参加していたB君は、わざわざ伏線として情報を出したのにA君に台無しにされたわけで、非常に憤慨した。しかしA君は「そのNPCの性格上、隣国にドラゴンが出ると知ったら絶対討伐に行かないわけがない」という主張を曲げなかった。
このキャンペーンは「シナリオ中にPC達は国境を越えられない」というのが不文律だった。これは、国境を越えてしまうと他GMの担当領域に入ってしまい、ゲームシステムまでも変わってしまうからだったのだが、NPCが国境を超えることまでは特に禁止しておらず、このような暴挙も成り立ってしまった。
一方C君の場合は、自分のPCがシーフということもあり、担当国内に盗賊ギルドを作り、ギルドの見取り図やら、幹部の人間関係相関図など、緻密で精細な設定をこれでもかというぐらい作り込んできた。しかし問題は、シーフのPCがC君のPC以外におらず、盗賊ギルドを訪ねる人間がいないということだった。せっかく力を入れて作られた設定も、盗賊ギルドに関わる人間がいないので、完全に宝の持ち腐れである。
とはいえ、C君はこれを完全に分かってやっていた。自分以外にシーフがいないことはキャンペーン開始時に周知のことだったし、他のプレイヤーに「自分の設定を使いたいから誰かシーフをやってくれ」と頼むこともなかった。つまり設定を作ることそのものを楽しんでおり、使うことは考えていなかったのだ。
これが行き着くところまで行き着いてしまったのがD君だ。D君の場合は、キャンペーンの設定情報をやり取りする仲間内の交流ノートに、とある女性キャラを主人公とした幻想小説のようなものを延々と書き連ねて行った。しかしD君のPCは女性ではない。かといって、他プレイヤーのPCを主人公にした物語でもない。
一体、このキャラクターは誰なのか? この小説は何なのか? 聞いてみると、その登場人物はD君のPCの娘らしい。しかし、D君のPCは設定上、娘どころか結婚してすらいない。なんとそれは、未来に生まれてくる予定の娘の物語。キャンペーンを進行している時間軸とは全く違う時代の話なのだという。しかも、D君自身がマスタリングするシナリオの内容とも全く関係ない。要は、キャンペーン設定の公開という場を借りて、自分のオリジナル小説を書いているような状態だったのだ。そもそも小説の大半が夢の中という設定だったし、仮にキャンペーンの設定に基づいたものだったとしても、実際のセッションにはほとんど使いようがなかったが……。
こんな感じで、ほとんどのプレイヤーが思い思いに好き勝手なことをやっていたのを踏まえた上での、ガンダムの乱入である。こんな無法地帯であれば、ガンダム好きのプレイヤーが「俺はファンタジーに現代兵器を持ち込むよ」と言われても、それほど酷くは……いや、でもやっぱり、それでもいくら何でもファンタジーにガンダムは酷いか……(笑)。