この「穢れた神社」のジョブの建物の入口のところで延々話し合ってるNPC、結構気になる。割と語彙が豊富で、ちゃんとNPC同士の会話が成立してるんだよね。普通ならそんなNPCの会話に耳をそばだてることなんてあまりないけど、ここってこの後のステルスミッションの準備をするのに最適な場所なんで、待機してサイバーウェアの準備とかしてると何となく耳に入ってしまう。
ただ、ステルスに失敗するとこのNPCたちが敵への「呼子」みたいな役割を果たすので、あながち単なる風景って訳でもないんだけど(笑)。
あの街には過去も未来もない
過去のトーキョーN◎VAのルールブックの中には、汎用ルールとしてコアルール部分を切り離そうとしていたものがいくつかあったので、元々薄味の汎用ルール的なものを目指していた、というのはなんとなくわかる。ただ実際には、そのコアルール部分を利用し、別の世界観で遊ぶというバリアントルールが出たことはなかったし、トーキョーナイトメアにしても、ページ数の関係か、汎用ルールのバリエーションの一つという形では構成されていなかった。だから言いたいことはわかるけど、でも……という感じ。
あと個人的には、ダブルクロスのようなステージ制を採用すると、オリジナリティを発揮することになる、という話の関連性がよくわからなかった。異なる世界設定を(それが同じ世界の「過去」であっても)、別々のステージルールで再現できるようなタイトルになれば、むしろルールそのもの汎用性は高くなるんじゃないかという気がするのだけど。
ただ、結論としては社長に同意で、トーキョーN◎VAの時代別のステージルールはいらないと思う。これはキャラクター作成ルールからして示されている。
ブレイドオブアルカナの3つのアルカナ(キャラクタークラス)は、それぞれが過去・現在・未来を指しており、PC一人をとっても、過去や未来を重視する世界観、時代の流れというものを再現するルールになっている。これに対してトーキョーN◎VAのPCのスタイル(キャラクタークラス)は、PCの表の姿・ペルソナと、本質であるキー、そして隠されたシャドウを表しており、時の流れとは関係がない。
トーキョーN◎VAのPCデータは、このゲームの究極の目的が「隠された真実を明らかにする」ことであると端的に示している。私はブレカナのルールに初めて触れた時、逆説的に「N◎VAという街には、過去にも未来にも意味がないのだ」と感じた。もし過去や未来に意味があるなら、スタイルの構成はブレカナ同様、「現在、未来、過去」だったはずだ。
もちろん、トーキョーNOVAももう長いこと展開してきたTRPGである以上、現在の世界設定に至るまでの来歴というものはある。その意味で「知識として」過去に何があったかを知りたいプレイヤーは多いだろう。だからクロニクルが発売されたのだと思う。しかし「N◎VAの過去の時代で遊ぶ」ことには、私はあまり意義を感じられない。トーキョーNOVAはルールブックと同様、世界設定もブラッシュアップされているし、ブレカナでいうエピックプレイのようなキャンペーンスタイルも用意されていない。過去で遊んだとしても、現在に繋がらないのだ。
そして、割と衝撃を受けつつ、さもありなんと思ってしまったのが、「トーキョーN◎VAには重版がかかったが、トーキョーナイトメアには重版がかからなかった」という話。前に「ファンタジーと現代ものの対比」の記事を取り上げた時にも書いたことがあるけど、トーキョーナイトメアはN◎VAと違って「サイバネティクス技術」という「都合のいい嘘」がないので、シナリオが非常に作りづらい。
まぁ、ナイトメアが出た当時は、2077がこれだけの大ヒットをする前で、サイバーパンクというジャンル自体が低迷していた頃だったので、無理もない展開だったのかもしれないけれど……2077があと3年早く世に出ていれば、また状況は違ったかもしれない。