前半はサイバーパンク2077と、ProjectRedや他作品のミームなどを組み合わせた、ちょっとしたイースターエッグの紹介になっているが、後半の「サイバーパンク世界の住人は、どのようにタンパク質を補給しているか」という話は、このジャンルの話としてはいわば定番だ。
「サイバーパンク2077では、培養された昆虫を材料に人工タンパク質が作られている」というのは、比較的最近のムーブメントを反映した、新しい概念ではなかろうか。少なくともTRPG版の2020やトーキョーNOVAにおいては、私のイメージだと、タンパク質は薬品などから化学合成されたものであって、他の生物を加工して作られたもののようには思えなかった。そういったものを培養している工場が登場したり、シナリオの舞台になった作品も記憶にない。
正直いうと、2077のナイトシティはなんだかんだで(人間の存在を除けば)割とマシな世界であり、ブレードランナーで描かれたような「常時酸性雨が降り、コートなしでは外にも出られない」という、サイバーパンクムーブメント初期の、非常に殺伐とした世界観よりは多少現代風にアレンジされているように見える。
要するに、初期の世界観だと昆虫すら培養できないような世界だったので、食料というのは我々が考える薬と同様、化学物質を合成することでしか生成できない世界が想定されていたのではないか……と思うのは、私だけだろうか。