先日、WARPS(ワープス)の有翼族の話を書いた関連というわけではないが、ツッコミどころのあるTRPG・第2弾ということで、WARPSの話をしよう。
一応折り畳むことにする。
このゲームの一番のツッコミどころには、前にもチラッと触れたことがある。やったことのある人なら多分ご存じと思うが、「決断力チェック」と「抑制力チェック」という判定である。抑制力、決断力はどちらも筋力や耐久力と同じ、PCのステータスだ。ただしその言葉から受ける印象と異なり、PCの自制心の強さだとか、PCの精神力の強さを表していたりはしていない。
この2つの能力値は、それぞれどういう時に使うのか。
まず抑制力は「プレイヤーがゲーム中口にしたが、実際には実行したくないことを実行しないで済むかどうか」という判定に使用する。説明すると分かりづらいので、例を挙げよう。
例えばセッション中、依頼者である国王と対面しているシーンで「こいつケチだな。一発ぶん殴ってやりたいわ」とプレイヤーが口にし、その後「今のは冗談だ。実際に殴るつもりはないよ」とフォローしたとしよう。そういう時にGMが「いや、君は今口にしたので、抑制力チェックで失敗したら本当に国王を殴るよ」という使い方をする。
そして決断力チェックは反対に、例えばPCが女好きという設定だった場合、NPCの美女を登場させた時に「シリアスな場面だから、ここではNPCを口説かないでくれ」とGMが言ったとしても、チェックに成功すると、GMの意図に反して女性を口説くことが可能になる(つまりGM側としては却下ができない)、とこういう場面で使用するステータスである。
共通点は「PCがプレイヤー、もしくはGMの意にそぐわない行動を取る」という点である。「プレイヤーもやりたいと思っていて、GMもそれを許容できる」という場合は決断力チェックも抑制力チェックも働かない。そういう性質を持っているので、プレイヤーとしてもGMとしても、扱いに困る判定だ。
一応ルールブックには「このルールの存在意義は、セッションをスピーディーに進めるためである」となっている。
抑制力チェックについては、TRPGのセッションにおいて、プレイヤーはどうしても慎重に行動しがちだし、PCの性格や設定などに関わらず、計算高い、あるいは理性的な行動をとる傾向が強い……とWARPSのルールブックにはある。そのため、つい口に出したことや、PCの性格に沿った行動であれば、それを実行することが不利になるとしても、PCとしては行動させるべきだというのがデザインコンセプトである。
決断力チェックについては、プレイヤーが無茶な提案を行ってきた際に、ある程度の確率でこれを弾き、シナリオの方向性を修正するという意図がある。WARPSの発売当時、セッションにおいて、シナリオに関係ない発言をしたり、プレイヤーの問題発言が今よりも多かったせいもあるかもしれない。
やりたいことはわからなくはないものの、私自身の経験で言わせてもらうと、この抑制力チェックと決断力チェックが存在すると、まずセッション中のプレイヤーの発言は極端に減る。抑制力チェックはいわばプレイヤー発言の揚げ足取りをするものだから、確実に行動に繋がる発言以外しなくなるのは当然だ。
例えば、PCが作戦を立てるシーンがあり、仮定の話で「ここでゴブリンに突っ込んだらどうなるだろう」みたいな話をしたとしても、GMに「君、今ゴブリンに突っ込むと言ったね。じゃあ抑制力チェック」と言われる可能性があるとしたら、作戦会議すらままならない。結果的に、プレイヤーは雑談も控えるようになり、逆に、セッションはかえって進行しづらくなる。少なくとも私の周りでは複数のプレイグループでそうだった。
また、決断力チェックについては、今の感覚するからすると、GMとしてどうしてもやってほしくない行動は判定などなしで却下したいし、逆にGMが強権を奮って「これは想定した行動じゃないから」とプレイヤーの提案に片っ端から決断力チェックを命じたら、自由度のないセッションだと思われるだろう。
今までWARPSで「決断力チェックと抑制力チェックが存在することによって、セッションがスピーディーに進んだ」というプレイヤーには会ったことがない。
また、この2つのチェックのもう一つの欠点は、セッションがどうしてもギャグテイストになるということだ。シリアスにやろうとしたところで、プレイヤーのツッコミや何気ない発言を拾われたり、逆に判定結果をもとに無茶な宣言を通さざるを得なくなる時点で、真面目にセッションが進行しようがない。
この決断力チェックと抑制力チェックという判定は、この作品にしか存在しない。何より、同じ作者の後継ゲームにすら採用されなかったということは、私の周りの話だけではなく、一般的な話として、あまり評判は良くなかったんだろう。