先日ソード・ワールドRPGを全力で殴ったばかりなのに、今度は返す刀でトーキョーNOVAに切りかかるというのは、我ながらどうかと思わなくもないのだけれど、今回は1つ前のふぃあ通の動画が出てからずっと書こうと思っていた、トーキョーNOVAセカンドエディションはなぜNot for me、いやNot for usだったのかという話をしよう。
今回も辛口なのでエントリーを折りたたむことにする。
曖昧ではない?
前回のエントリで、私は「トーキョーNOVAセカンドエディションの戦闘ルールは曖昧だ」と書いた。しかし昔、別のプレイグループのプレイヤーたちと議論した時、「それは違うのでは」という指摘を受けたことがある。
これは「曖昧」という言葉の定義によるのだが、例えば「文章が何通りも解釈できる」とか「肝心な部分について明確に書かれていない」とか、少なくとも「文章の上でルールの解釈を確定できない」ということは本ルールにおいてはない。従って「曖昧ではない」という指摘も一理ある。
しかし、私や仲間たちが曖昧だと思っていた理由は、ルールを文字通りに捉えると、他のルールの部分と矛盾を起こしたり、特定のルールに存在意義がなくなるので、読んでいるこちら側が「どこかを間違えているのではないか」「デザイナーの意図はどこか別のところにあって、重大な文章が抜けているのではないか」と考えてしまうからだった。
リアクションと対抗行動
まず、実際のトーキョーNOVAセカンドエディションの戦闘ルールはどのようなものだったかを説明する前に、今回のエントリ特有の用語について解説しておこう。トーキョーNOVAセカンドエディションの戦闘ルールでは、ゲームタームとして「リアクション」という言葉について非常に特殊な使い方をしているので、これを一般用語のリアクションとごっちゃにすると意味がわからなくなる。なので今回のエントリーでは、いわゆる一般用語としてのリアクションには「対抗行動」という言葉を充てる。「リアクション」はあくまでもルールブックの用語としての「リアクション」を指すと考えてほしい。
本題
では本題。トーキョーNOVAセカンドエディションでカット進行、つまり戦闘に入ると、まずルーラーも含めた参加者全員にカードを配る。これはいわゆるニューロデッキ、つまりタロットカードでもなければ、トランプでもない。「アクセスカード」と呼ばれる数字だけが書かれたカードである。そして、配られたカードの数字が少ないものから順に行動する。全身にサイバーウェアを埋め込んだフルボーグであろうが、戦闘が苦手なゲストのマネキンであろうが、違いはない。
アクセスカードの数字が一番少なかったものが最初に行動する。これを「ベースアクション」と呼ぶ。相手に接近するとか、相手に向かって銃を撃つ、刀で切りかかるといった行動も全てベースアクションである。ここまではまぁいい。
最初のキャラクターが──ここではキャスト・ゲストを含む──アクションを取ったところで、それに対するリアクションを募る。前回のエントリで「挙手を求める」と書いたのはこの場面である。複数のキャラクターがリアクションを行いたいと言った場合、その中で最もアクセスカードの低い人間が権利を得る。そしてこのリアクションは、ベースアクションをした本人にも行動の権利がある。
ここまで聞いて「え?」と思った人もいるのではないだろうか。例えば、キャストAがゲストAに切りかかる、というアクションを取った時に、ゲストAがリアクションを行うとは限らない。むしろキャストA自身すらリアクションを取れるのである。
最初これを見た時読み間違えたかと思ったのだが、実はこの後にルールの適用の実例が掲載されていて、そこでは(NPCの)“レンズ”がベースアクションを行い、さらに自分自身の行動に対してリアクションで追加行動を行っているので、これは解釈の誤りではなく、ルールが想定するとおりの行動になる。
そして、ベースアクションの対象になったキャラクターがリアクションが取れなかった時点で、最初のベースアクションは対抗行動が存在しないまま確定する。つまり、キャストAがゲストAに向かって銃を撃ち、それに対するリアクションとしてさらにキャストAがゲストAに向かって追加行動で銃を撃った上に、ゲストAは避けることも受けることもできない、という状況が(それもかなり高頻度で)発生することになる。何しろ行動順はアクセスカードの順に決まり、さらにアクションを取った人間本人が行動できると明記されている以上、ベースアクションに対してリアクションが取れる可能性が最も高いのは、ベースアクションを起こした本人だからだ。
つまり、トーキョーNOVAセカンドエディションの戦闘ルールにおいては、カード運が強いキャラクターが2回行動を行うのが、最もよく起きるシチュエーションということになる。しかもご丁寧に、最初の行動はアクションランクを消費しないとまで書かれている。もしこのキャストAが、動画で言われているようにファイヤーアーム技能を1・2・3と重ねて取っていたら、何の特殊技能もなくても、アクセスカードで先手を取った時点でアクションで3回攻撃、リアクションで3回攻撃の6回攻撃が確定する。そして攻撃された側は一切対抗行動が取れない。
もしここで「リアクションでアクションランクを消費するのは嫌だから、自分はベースアクションは行うけれどもリアクションは行わない」という行動を取った場合でも、次のアクセスカードを持つキャストが追加攻撃を行うだけで、ゲストAが対抗行動が行えない、という事実は変わらない。
逆に、次のアクセスカードがゲストAだった場合にはどうなるかというと、リアクションによる回避とファイヤーアーム1・2・3と技能を組み合わせれば、今度は反撃された側が対抗行動が行えないことになる。なので、ベースアクションを行った側としては、リアクションで追加行動を取らないのは非常に不利になる。
よって大概の場合、ベースアクションした本人、あるいはそれと同じ側に立つキャラクターが追加行動を行うのがセオリーということになる。このため、例えば回避や受けといった対抗行動のルールが、実質存在する意味がない。何しろ戦闘シーンで最も基本的な「攻撃して、相手が防御する」というルールの時点で「攻撃に対して追加攻撃するのが最も有利であり、それによって相手はどちらの攻撃も防御できなくなる」というルールである以上、誰も相手に防御させるような選択肢は取らない。
ここが、私や仲間たちがセカンドエディションの戦闘ルールで最も謎だと思っていたところだ。はっきりいうと、カブトというスタイルの存在する意味もほぼない。なぜなら、対抗行動をとりうるシチュエーション自体がほぼ存在しないため、「防御を得意とするスタイル」の存在意義がないからだ。
ここまでルールブックを読み込んだところで、「いや、どこか誤読しているか、あるいはデザイナーの意図通りでない場所があるんじゃないか」と仲間たちは考えたのである。加えてレボリューション以降と違い、この時代の対抗行動を行えない判定の目標値は制御値ではなく、さらにこの時代の制御値は能力値よりも低いので、高い制御値で弾く、という選択肢もまだない。
不幸なことに、トーキョーNOVAのこの当時のリプレイは、ルールの適用を細かく記載しておらず、本当に雰囲気だけしか書かれていないものだった。なので、リプレイのプレイヤーたちが、戦闘シーンでどのようにルール上の行動を取っているかは謎だった。その詳細がリプレイで描かれるようになったのは、伝説のリプレイであるレボリューションの「トータルエクリプス」からである。
ファーストエディションの時には対抗行動にはちゃんと意味があったのに、セカンドエディションで何でこんなルールになったのかというのが、当時全く理解ができなかった。
そしてレボリューションへ
では、この理解不能なルールがレボリューションでどのように改善されたか。
まず大きな相違点として、カードのプロットのルールがある。セカンドエディションまでは、戦闘時も通常時と同じように手札からカードを出していたが、レボリューションとデトネーションにおいては、戦闘時、行動が始まる前に、自分のアクションランクの枚数だけ、手札から目の前に裏にしたままのカードを並べるというプロセスが追加された。ターン終了まで、手札は補充できるがプロットの追加はできない。
これによって、プレイヤーたちは戦闘に参加するキャストやゲストが、残りあと何回行動できるかというのを一目で確認できるようになった。そして行動順については、このアクションランクの残りが多い順、ということになった。戦闘用サイボーグなどはアクションランクが高いため、生身のキャラクターよりも早く動ける。ただし、戦闘開始時などサイバーウェアのスイッチが入っていない状態では、普通のキャラクターのアクションランクは同一だ。
同じアクションランク同士の場合、行動順はルーラーの左から席順になった。つまりランダムではない。そしてルーラーの左から座っている順というのは、すなわちシナリオにおける当事者性の高い順ということになる。シナリオに密接に関わるキャストほど、早く動ける。
次に、リアクションではベースアクションの妨害以外の効果を及ぼすことはできなくなった。この一文が追加されたことで、敵の攻撃に対しては回避などの対抗行動を取ること以外、実質意味がなくなったのである。なぜ「リアクションを取れるのはベースアクションの対象になったキャラクターだけ」と書かれていないかというと、それは他人への攻撃を防御するカブトなどの行動が存在するからだ。逆にいうと、他人への攻撃を代わって受けるようなキャラクター以外、他人への行動に対してリアクションを取る意味はなくなった。
そして制御値の意味合いが変わり、リアクションが取れない時のベースアクションの目標値が制御値となった。加えて、基本的には能力値よりも高い数値が設定されるようになったので、脅威でない敵の行動に対して無理にリアクションを取らなくても良くなった。
要所要所を変えただけだが、これだけでトーキョーNOVAの戦闘ルールは見違えるほど別物になった。私たちはこの後レボリューションにハマり、散々プレイしたわけだが、戦闘ルールの基本部分に疑問を感じる場面はほぼなかった。それぐらいシンプルで、しかも視覚的にわかりやすいルールに生まれ変わったのである。
逆に言えば、生まれ変わる前はやっぱり相当酷い。
例えば、ファイアアーム1から3を持つ敵ゲストのチンピラが5人いて、ルーラーがアクセスカードで一番早いカードを引いて、全員サブマシンガンで射撃してきたら、何の特殊技能もなくてもキャスト1人当たり30回(3×5×2)攻撃されるのがデフォ、というルールはやはりどっかがおかしかったんだと思う。
ちなみに冒頭でトーキョーNOVAセカンドエディションのルールは曖昧ではないと言った人も、じゃあ戦闘ルールを評価したかというと、褒める人は少なくとも私は見たことがない。