実は名作だった?


 本当は、ブレカナの殺戮者の話の続きを書きたかったんだけど、上の動画を見て、急遽このゲームの話をすることにした。
 スーパーファミコンでソードワールドのゲームが出ていたことは知っていて、ノベライズも持っていたのだが、2の方はかすかに存在を知っていたくらい。こちらもノベライズを持っていたにも関わらず、それがゲーム版のノベライズであることにすら気づいてなかった。
 もちろんゲームソフトも持っておらず、この実況動画を見て初めてゲーム内容を知ったんだけど、いや、こんなストーリーだったとは。スーパーファミコンで発売されたTRPGが元ネタのゲームの中では、蓬莱学園と並んで興味を惹かれるゲームだった。
 前作も、ソードワールドのシステムを引き継いで自由にキャラメイクできたり、成長できるところには興味があったものの、メインストーリーである邪神ミルリーフ絡みの話があんまり好きじゃなかった。「『邪神を復活させるために信徒が暗躍する』って、それって普通のコンピューターRPGなのでは」と。しかもノベライズが結構暗い雰囲気で、二重の意味でノットフォーミーだった。で、それと気づいていなかった2のノベライズについてもあまり合わず、序盤だけ読んで放置してしまっていた。

 ところが、実際にこうやって動画で見ると、結構面白い。
 ソード・ワールド1.0のアレクラスト大陸は、西部の都市国家連合「テン・チルドレン」と、東部諸国が大きく離れていて、あまり文化的な交流がなく、PCなどの行き来も少ない。恐らくは、西武と東部でメインデザイナーが違った関係もあったのだろうが、この2つの地域を結んでいるのが「自由人たちの街道」だ。
 「TRPG版を知らない」と言っている動画主も「この題材は渋い」と褒めていたけれど、知っている人間からするとなおさら、この街道はデザイナーの異なる2つの世界を結ぶ架け橋のようなものであり、特別な存在だった。
 特に私にとって思い入れが深かったのが、今まで何度か書いた「ファーラムの剣」(ソード・ワールド発売前にドラゴンマガジンに連載されていた紹介記事)で、一番最初に見た記事が「自由人たちの街道」にまつわる記事だったからだ。当時、TRPGの世界設定の紹介で、国でもモンスターでもなく「道とその成り立ち」を紹介するというのは異例なことで、それだけアレクラフト世界が非常に深く考えられた世界設定を持つという、象徴的な記事だった。
 それだけに、このSFC版で、自由人たちの街道が主題に据えられたのはすごいと思ったし、これが主題であることで、前作では東部諸国しか移動できなかったのが、今回は西武と東部を行き来するロードムービーのようになっている。お陰で、人気のあった最初のリプレイシリーズのキャラクターたちがゲスト出演するというファンサまである。もっともこの面白さは自分で操作できるゲームならではのもので、小説で表すのは難しかったと思うが……。
 「本来人々の役に立つべき自由人たちの街道が、戦争に悪用される」というテーマもいかにもソード・ワールドっぽいし、「神になろうとする巨人が現れる」というのも、かつてデザイナーが「六大神は超優秀な巨人だった」と発言していたことを考えれば、フォーセリアの世界設定のかなり根幹に近い部分に触れている(それを言ったら、前作には神殺しの竜まで出てくるんだけど……)。
 TRPG版の舞台となった場所の、ほぼ全域を自由に行き来できるソード・ワールドの関連作品は、多分これだけだと思う。道中依頼を受けるかどうか自分で決められるというのも、今でいうオープンワールドの走りのような作りだ。本当は、当時TRPGのキャンペーンで遊べたなら一番よかったんだろうけれど、公式からの供給が途絶えてしまった今、昔懐かしいアレクラストの地をもう一度旅したいと思ったら、中古屋でこのゲームを探してみるのもありかもしれないと思えた、そんな一作だった。