先日の「マジックユーザーは鎧を着られない」という話に関連して、友人との会話の続きである。
当然といえば当然の発想だが、クラシックダンジョンズアンドドラゴンズ(CD&D)の魔法使いは、全ての防具を身につけられない、というと、友人は「では、魔法で防御力を上げることはできないのですか?」と言った。「マジックシールド」の魔法は、ないわけではない。しかし、その魔法は戦闘中しか効果が及ばないので、戦闘が終わるたびにその魔法を使い直さなければならない、ということになる。
問題は、その効果がどれくらい持続し、結果的にセッション中どれくらいのリソースを必要とするのか、だ。そもそも、CD&Dにおける魔法の効果時間……いや、魔法に限らず、ゲーム内の時間はどのように管理されているのか?
ちなみに、これは後の版になって大休憩や小休憩のような概念が出てくると、話が全く変わってくるので、今回話すのはあくまでも日本語で初めて翻訳されたクラシック版の話である。
戦闘はラウンド、それ以外はターン
CD&Dにおける「時間」は、いわゆる一般的な「1時間、2時間」という単位はあまり使われず、ゲーム用語としての「ラウンド」と「ターン」によって管理されることが多い。
ラウンドというのは、戦闘時に「敵と味方が1回ずつ行動する時間」のことである。コンピューターRPGに慣れている人であれば、概念として分かりやすいのではないだろうか。「自分の攻撃」・「相手の攻撃」……これで1ラウンドである。具体的には10秒だ。
そして「1戦闘」は「1ターン」である。この1ターンというのは10分だ。と、こう書くと「あれ? じゃあ60ラウンド(あるいは50ラウンド?)で1ターンなんじゃないの?」「3ラウンドで戦闘が終わったら、まだ1/20ターンしか経ってないんじゃないの?」と思うかもしれないが、戦闘の所要時間には終わった後休憩する時間まで含むとされ、必ず1ターンかかる。
つまり、魔法の効果時間が1ターンとなっていた場合、例え3ラウンドで戦闘が終わったとしても、その魔法の効果時間を次の戦闘に持ち込むことはできない。逆にいうと、仮に戦闘が61ラウンド以上長引けば、効果が途中で切れることになるが、実セッションではまず発生しないシチュエーションである。この辺りをゲーム的に処理するために、具体的な時間での表記ではなく、ラウンドやターンという単位を設定したのだろう。
隣の町へは何マイル?
また余談になるが、距離や範囲を示す数字もヤードポンド法が使われていて「効果範囲半径何フィート」とか「移動先まで何マイル」という表現になっている。当時の自分が感じたのは、これが何cmや何mといった、日常親しんでいる単位だと、ゲーム上起こった演出に対して違和感を覚えてしまうことがある。しかしフィートやヤード、マイルといった日常的に親しみのない単位が使われていると、先ほどターンやラウンドの扱いと同様、直観に結びつきづらく、よりプレイヤーを納得させやすかったように思う。
それでも1日の移動距離など、マイル表記に1.6をかけてkmに直すと、「もっと移動できるんじゃないか」などという話が出てくることはしょっちゅうあったけれども。
ちなみに他のゲームでは
ちなみに、他のゲームでは時間をどう扱っていたのだろうか。ソード・ワールドは今と扱いが同じなので、それ以前のゲームについて多少挙げてみよう。
トンネルズアンドトロールズ(T&T)では、1通常ターンは約10分、つまりCD&Dとほぼ同じである。ところが、1戦闘ターンは約2分で、CD&Dよりかなり長い。これは、T&Tの戦闘が「一つのアクションではなく、一連の流れを単位にする」ものだからだろう。しかし、通常ターンと戦闘ターンの差が小さすぎるので、CD&Dのような扱いはできない。戦闘が5戦闘ターン続くことはよくあることなので、そこでは1通常ターン経過したと考えざるを得ず、実質的に両方の単位系を管理する必要が出てくる。
しかも、なぜか魔法の効果時間には「魔神の剣」のように「〇〇時間継続する」なんて書かれているものもある。「〇〇時間=〇〇×6通常ターン=〇〇×30戦闘ターン」を意識せざるを得ないので、CD&Dよりルールが簡易なように見えて、実は管理するのはややこしかったりする。
ワープスはD&Dとほぼ同じターン・ラウンド制で、さらに1ラウンドの時間が短い。6秒である。つまり100ラウンド経たないと1ターンに相当しない(ルールには101ラウンド続くなら2ターン目になると書かれている)。
逆にルーンクエストは、1ラウンドは12秒で、CD&Dより微妙に長く、そしてターンという単位は使われていない。
こうして見てみると、時間というものをどう管理するか一つを取ってみても、ゲームによる個性がよく表れている。
