少なくともタイトルに「ほぼ絶滅」と書いてある以上、それを主張したいなら私はここに挙げられている7つのジャンルのうち、自分が知っているジャンルについては異論を唱えたい。
動画を見るとわかるように、シューティングとか音ゲーについては「ゲームセンターで見かけなくなったから」というような趣旨のようだが、それはむしろゲーセン側の問題。シューティングもインディーズでは結構見るし、音ゲーに関してはプロセカがあれだけ流行っているのに「ジャンルが絶滅した」というのは相当無理がある。
格闘ゲームとかフライトシムについては「大作以外ほぼなくなってしまった」と。ではRPGはどうなのかとか、レースゲームでも「マリオカートは例外で」みたいな話をしたら、全てのジャンルにそれが言えてしまう。
とはいえ、一番異論を唱えたいところは、動画のみならずこの手の、特に製作者側の話にありがちな話だが「プレイヤー側に原因を求める」ところ。「難しくなりすぎてプレイヤーに受け入れられなくなった」なんていう意見については、私は同意できない。
前にバンナムの原田氏も似たようなことを言っていたが、難しくても面白ければプレイヤーは遊ぶ。そもそもここで挙げられているジャンルは、一世を風靡する前にすでに初心者向けではないゲームが山ほどあった。ゼビウスだって初心者に優しいゲームとは言えないし、スト2ターボだって、初心者にあのゲームスピードでプレイしろというのは相当無理がある。
だから、ゲームが難しいか難しくないかは、そのジャンルが流行るかどうかとの因果関係は薄いと私は思っている。どんなジャンルだって、流行すれば難しいゲームも出てくる。そんな中で衰退しないジャンルもあれば、そうでないジャンルもある、
では、私自身は原因を何だと思っているかというと、もちろん制作側の事情もあるが、一番大きいのは「ハードウェア上の制約」だ。特にシューティングゲームやベルトスクロールアクションが分かりやすい。
私自身3Dダライアスを遊んでいて感じたが、2D時代のシューティングゲームは、いわゆる「背景」で書かれているものと、「スプライト」で書かれているオブジェクトがあって、多くのゲームは背景は気にする必要がなく、スプライトで書かれているものを避けていくというゲームシステムだった。これが3Dになったことで、全てポリゴンで描写されることになった結果、どれが避けなければならない敵弾で、どれが避ける必要のないオブジェクトなのかというのが見た目で非常に分かりにくくなってしまった。
さらに奥行きがあるせいで、よくある3D上の演出で「敵が画面奥方向から急上昇してくる」とか「画面上からドアップで降下してくる」とか、そういう演出をされた時、「軸が一致するまでは重なっても問題ないが、軸が一致した途端当たり判定が出てくる」というのが非常に分かりづらい。
似たような話はベルトスクロールアクションゲームにもある。奥行き方向に移動はできるのに、なぜ奥行方向に攻撃はできないのか、という。これは2D表現の限界だったわけで、ポリゴンを駆使した3D表現が主流になったら、わざわざそんな立体感のない表現を選ばないだろう。つまり、このジャンルの延長線上にあるのは無双系ゲームだ。
格闘ゲームも、当時のハードウェア事情──「通信環境が貧弱で、双方に同じ画面を表示するしかない」「相手と自分が一人ずつなら、それを結ぶX-Y軸は一つしかないので、奥行の表現が不要になる」「奥行の表現がいらないなら、左右と上以外のレバー入力を他のことに使えるので、必殺技入力が実現可能になる」──に非常に特化された表現だ。
個人の視点だと「あのジャンルはややこしくて初心者お断りだから新作を追いかけない」と感じるかもしれないが、それは因果が逆だ。「ややこしさを凌駕する面白さを感じられない」ことこそが、本当の原因だ。
もちろん制作者に、売れないゲームを作れとは言わない。ただ「売れなかったのはプレイヤーのせいだ」と「公言」するのは別の話だ。プレイヤーはハードウェアを選べない。企画会議にも参加できない。広告が打てるわけでもない。衰退の理由を「遊ばない初心者のせい」に求める限り、そのジャンルが復活する日は遠いだろうし、次のジャンルでも早晩同じようなことは避け得ない。