そげぶ


 これぐらい脳内変換しないとやってられない。


 団結2010がデイリー4位になったということは、恐らくバンナムは「ああ、文句を言っているのは一部のプレイヤーで、その声が大きいだけだな」と判断するだろう。プレイヤーがゲーム内容変更のための署名を集めても、各方面との契約内容は今さら変えられないし、恐らくその要求が通ることはない(当然だがそんな前例もない)。団結CDの売れ行きを見る限り、もしかしたらこのままいけばゲームそのものもそれなりの本数売れるかもしれない。
 だが、それでバンナムの勝ちかというと……あながちそうとばかりは言い切れない。


 古いデータになるが


アイマスDLC売上額がパッケージ売上を超えたらしい - L4U発表会内容速報 


 ソフト売り上げ10万本、アイマス関連の売り上げは60億円(アケマス含む)となっている。乱暴に計算すれば一人あたり6万円だ。本体ソフトが前作並みの10万本売れたとしても、それがアイマス全体の売り上げの主力でないことは明らかだ。DLC、キャラソンCDなどなど……。関連商品が売り上げのメインだ。そもそもこの記事のタイトルも「DLC売り上げがパッケージ売り上げを越えた」だ。
 つまり、アイマス2が成功するにはDLCその他の関連商品を売らなくてはいけないことになる。しかし、ここで問題がある。キャラソンCDは今のところ非難轟々(これに関して擁護している人はほとんど見ない)のAKB商法が吉と出るか凶と出るか未知数としても、ここで取りあげられているDLCに関していえば、例えば衣装や髪型を増やした自分のアイドルを「他人に見せる」、あるいは「他人のアイドルを見る」チャンスはどれくらいあるだろうか。
 現状でも、ゲームそのものオンライン対戦か、キャラのデータを素材として使ったMAD作成くらいしかないはずだ。前者は2にはないことが明言されている。では後者は?


 ニコマス界隈は現在大炎上している。当初想定されたとおり、バンナムを非難する動きが一段落すると、次は擁護派、容認派、積極的反対派、消極的反対派が血で血を洗うバトルを繰り広げつつある。既に擁護派の数名のPがブログを炎上させ、エントリごと削除している者もいる。どの意見が正しいとか間違っているという問題ではない。この事態を招いた時点でコミュニティとしては既に終わりなのだ。
 アイマスのコミュニティはこの5日間でズタズタになった。私は先日「アイマスは失敗しなかったセングラだ」と書いたが、それはもう過去の話。ファンたちの内部要因でなく、バンナム自らがコミュニティを破壊してしまった。
 「俺は2を楽しみにしている」「俺は残る、頑張る」という人もいるが、コミュニティそのものが破壊されたのを否定することはできないだろう。それはもう2が面白いかつまらないかというのとは別次元の問題なのだ。たとえゲームが面白くても、罵声を浴びせあった者同士が再び手を取りあうことは極めて難しい。今まで異なる価値観を持つ者が祭りに集っていたのだ。こうなってしまったら、以後は異物を排斥していくコミュニティしか残らない。コミュニティを再形成するにはまた長い長い時間がかかるだろう。
 繰り返しになるが、MAD職人は金銭も含め、莫大な労力をその作成にかけていた。彼らはDLC売り上げのかなりの部分を占めていたのではないかと思われる。また、これが重要な点だが、自分でMADを作ることはなくとも、職人の作った作品を見てDLCの購入を決意したプレイヤーが相当数いたはずだ。それが作品が発表する場が失われたことで消える。
 心を痛めている者の相当数は、今何も言葉を発していない。そして、何も言わずに界隈を去る。そのダメージはソフトの発売日売り上げ本数減というアッパーカットではなく、DLC売り上げダウンという、徐々に効くボディブローとなって響いてくるだろう。ニコニコ動画に関していえば、既にそれはアイマスタグのついた動画の大幅減少という形で表に現れつつある。


 私は、たぶんアイマス2は買わないだろうと書いたが、不買運動をしたいということではない(買う人を否定するつもりは毛頭ない)。私にとって今のアイマス2はXBOX360本体を買い直してまで遊びたいゲームではないというだけだ。
 ただ、本体ソフトの売り上げ本数だけではアイマス2の成否は計れない。セカンドディビジョンの売り上げ全体にどのような影響が起こるか。それに関しては、悲観的な未来しか見えてこない。かつてときメモが1で築き上げたコミュニティを2で否定し、売り上げとしては悪くなかったはずの2の後の3やオンラインで大失敗したように。
 あるいは、ときメモがGSや4で盛り返したように、いつの日か再び蘇る日がくるのかもしれない……それまでプロジェクトが、いやバンナムのゲーム部門が残っていられるのであれば……。


「火は森を一日で灰にする。水と風は百年かけて森を育てるんじゃ」(風の谷のナウシカより)