ファイティングファンタジーの復刻状況(今日現在)

 一昨日の日記に書いたゲームブックファイティングファンタジーシリーズのうち、かつて社会思想社で翻訳版が発売されているが、現在まだ復刻されていないものが何冊あるのか、実際に数え直してみた。
 社会思想社版のファイティングファンタジーシリーズは全部で33冊。これに東京創元推理文庫から出版されたソーサリーの4部作を加えると、かつて日本語翻訳版が発売されたファイティングファンタジーシリーズは37冊になる。


ja.wikipedia.org


 では、ソフトバンクファイティングファンタジーコレクションで復刻されたのは何冊あるかというと、タイトルを書くと長くなるのでシリーズの巻数のみで記載すると、1、2、3、5、6、7、9、10、17、24、そしてソーサリーシリーズの4冊だ。つまり37巻のうち、現在まだ14巻しか復刻されていない(なお、コレクションシリーズでは社会思想社版にない新規翻訳となるものが現在5冊翻訳されている)。

 そして、残り23冊のうちタイタン世界を舞台にしたものは何冊あるかというと──これは、タイタンの世界以外を舞台にしたものが何冊あるかを数えた方が早い。それくらい、タイタン世界を舞台にしたものが多いのだ。
 タイタン世界以外を舞台にしたゲームブックは、11、12、13、15、18、22、27、そして33である。このうち、ちょっと特殊なのが11冊目の「死神の首飾り」だ。こちらはファイティングファンタジーシリーズにしては珍しく、題材がファンタジーなのにタイタン世界が舞台となっていない。逆に言えば、これ以外の作品はタイタン世界が舞台となっている。
 これらの作品については、だいたい以下のような傾向がある。
 まずタイタン世界の「タイタン」というのは惑星の名前だ。そこには「アランシア」「カーカバード」「クール」という3つの大陸がある。ポートブラックサンドや火吹山など、ファイティングファンタジーシリーズで有名な場所は、ほぼ最初のアランシア大陸に存在する。次に、4部作として企画された大作ソーサリーシリーズを書くにあたり、恐らくこれまでと関連の薄い場所を作る必要に迫られたのであろう、新たな大陸カーカバード(旧世界)が舞台となった。
 以降の作品については、既存のアランシアを舞台にした作品や登場人物と関連性が深いもの、ストーリー上密接に関係があるものについてはアランシアが舞台となり、異なる作者だったり、それまでのシリーズと異質な作品については、クール大陸に集まっているという感じだ。

余談

 今回このエントリを書くにあたり、ファイティングファンタジーシリーズの説明がやたら詳細なpixiv大百科を読み直していたのだが、社会思想社版の最終巻にあたる33巻の「天空要塞アーロック」について、はっきり「駄作」と断じている。


dic.pixiv.net

シリーズ33弾。そして、最後の邦訳作品である。
SF作品であるが、はっきり言って「駄作」である。

また、昨今古書でゲームブックを求める際。本作もファイティングファンタジーの一作であるため、値打ちが付く事が多い。そして高額を支払い購入する向きも見られるが、よほどの好事家か、お金を無駄にしたい人以外にはお勧めできない一作と忠告しておく。


 おそらくこれらの項目を書いている執筆者はそれほど多い人数ではないと思うが、他の項目において駄作と断じているケースはほぼなく、珍しいケースである。実際に現物を読んだことはないが、よほど腹に据えかねる出来だったのだろう。
 そして、そのような評価がされた作品が日本語版翻訳最後の一作となったことには……単なる偶然以上の何かを感じてしまう。