サンプルキャラクターを使うということ

『エクリプス・フェイズ』キャラクター作成術:「軍艦」と「パズル」と「古典」


エクリプスフェイズ キャラクター作成術


 私も昔はサンプルキャラクターが嫌いだった。他人が作ったキャラクターで遊んで何が楽しいのか? と。
 目から鱗がボロボロ落ちて認識を改めたのは旧天羅万象をプレイしてからだ。このゲームは本当にすごかった。
 まず、アーキタイプと呼ばれるサンプルキャラクターを使うことで他人のPCとの人間関係が構築できるよう、完全に計算されゲームがデザインされていた。ヨロイ乗りとヨロイ狩り、サムライと銃槍使い、オニと陰陽師。旧天羅万障をプレイしたことのある人なら多分これらのアーキタイプの組み合わせを並べただけで、2人がどんな関係でパーティ内のどんな位置にいるかまで完璧にイメージできた。
 さらに「業システム」の特性で、このいわば「スタートライン」から2人の関係がどのように変化していくかが、人によってまったく異なる。私は10人以上のサムライを見てきたけれど、最初は同じでも、同じように成長を遂げたPCは誰一人としていなかった。金剛機も同様。最初がお仕着せであっても、プレイしていく内に感情移入が生まれ、そしてプレイした結果がPCの血肉となる。
 逆に、旧天羅万象において自作のPCを使おうとしても、因縁の関係でどうしてもうまく他のPCと絡めない。無数のテストプレイを繰り返して作り出されたアーキタイプの完成度にはどうしても及ばない上に、他人がそのPCをイメージしにくいのだ。

 私はこのゲームを機に、サンプルキャラクター肯定派に転じたのである。 ……今からもう15年も前の昔話だ。

 まぁ、一回でもコンベンションに行って「自己紹介からキャラクター作成を経てシナリオを終え、後片付けまで6時間で済ませろ」と言われれば、サンプルキャラクターがいかに便利、かつ必要不可欠なものかはすぐ分かると思うんだけど。