たどり着いた未来、来るべき未来


京セラ、キークリック感を再現する「新感覚タッチパネル」など

スマートフォンタブレット端末の利用に際し、ディスプレイに表示されるキーボードでは使いにくい、といった理由で避ける人もいるはずだ。


 それは私です。

 子供の頃は、未来的なガジェットに憧れていた。例えば「ハードウェアとしてのキーボードの形状に囚われず、使用するアプリケーションによって最も使いやすい形態に変化するインターフェース──タッチパネル」とか「テレビのように場所をとることのない、究極のディスプレイ──HMD」とか。
 しかし、時代が進み自分も成長し、実際にそういった未来的なデバイスがちょっとずつ現実になると、嘆かわしい事実が浮かび上がってきた。
 どうやら、私は未来的なデバイスが「合わない」らしいと。
 タッチパネルは私にはどうも打ちにくく、使いづらくてしょうがない。爪を伸ばす癖はないのだが、どうしても爪がタッチパネルを叩いてしまうようで、なかなか反応してくれない。エクスペリア・プレイを使ってみた時も、明らかにタッチパネルよりハードウェアパッドの方が使いやすかった。
 ディスプレイとしてのHMDとの相性はさらに酷く、5分使っただけで目が痛くなってくる始末。そもそも私は普段から複数のディスプレイを同時に見ていることが多く、そういった意味でもHMDは使いにくい。
 新しい技術についていけない時代遅れの自分に暗い気持ちになっていたところ、一人の友達が違う視点からの意見をくれた。

 未来的なデバイスに体が合っていないのではない。技術がまだ成熟していないのだ、と。
 その友人は私よりそういった技術に近しいのだが、タッチパネルが「打ちにくい」のはハードウェアとしての課題が残っているからであるし、HMDが目に負担となること、複数の画面を同時に表示できないことも、技術的な進歩によって解消されていかなければおかしい、という。
 機械に体を合わせるのではなく、体に機械が合っていくべきなのだ、という意見には、なるほどと頷かされた。もっとも、彼の考えているものは実在の技術より架空のSF的な技術に近く、実現までには大きなハードルをいくつも越えていく必要があるだろうが……。

 表題に挙げた京セラの技術などは、そのブレイクスルーの一つとなり得るものなのかもしれないし、そうあってほしいと思っている。