幻の魔法少女

子どものころ好きだった「歴代NHKアニメ」ランキング 1位は…(リンク切れ)


 おぼろげに覚えている程度だとニルスとかスプーンおばさん、はっきり覚えているのになるとナディアと18位に入っている秘密の花園かな。秘密の花園は富永さんがヒロインだったはず。前番組の三銃士で“悪女”ミレディーやってた平野さんが同じようなミステリアスな役で出てきて、絶対悪役だと思ってたら違ったという。
 ただ、アニメ版の「秘密の花園」は原作のラストを改変して余計な話を繋げてしまったせいで、原作者バーネットの思想とか語りたかったことが全部スポイルされてしまった残念な作品だった。あの原作をまともに読んでたら、コリンが元気になったのに一顧だにしないクレーブン氏とかありえんだろ(笑)。


 それはさておき。
 タイトルの「幻の魔法少女」は、全く違う作品の話だ。ランキングには入っておらず、上のリンク先でもコメントで一人触れるのみ。私もこのアニメを見たことがあるという人には一人しか会ったことがない。
 これだ。


魔法少女隊アルス ザ・アドベンチャー 初回生産限定全巻BOX [DVD]

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 ずっと昔、たまたま買ったニュータイプの付録DVDでパイロット版を見た時、これはすげえ! という衝撃を受けた。それがこれだ。




 一回目はコメントなし、二回目はコメントありで見てみてほしい。一回目で雨宮さんのセンスが、二回目で「パイロット版が放映版で大きく変わった」ことが窺えると思う。というか、パイロット版を見ていた人がこんなにいたことが驚きだったのだが。
 パイロット版では「クールなリーダー役」っぽく見える主人公の立ち位置が放映版ではかなり違う。何より「現代日本で生活する少女が魔法の存在を心から信じている」という設定自体が視聴者としてはかなり共感しづらい。
 私は放映版を一話見て「あ、これは合わないわ」と感じ、そこで視聴をやめてしまった。

 と、ここで終わりならこのエントリを書くこともなかったかもしれない。人の縁とは数奇なものだ。
 リアル友人にもこのマイナーなアニメのことを知る人はほとんどいなかった──というより、放送版は対象年齢が低く、またちょうどなのはやプリキュアも流行する前のファーストシーズンを放映するか否かといった時期の作品であり、CLAMPが関わったCCさくらのような話題性もなく、どれみのようにメジャーでもなく、会話に出し辛かった。

 ところが、ひょんなことからFF11で知り合った仲間とこの作品の話題になった。*1
パイロット版はよかったけど放映版はちょっと……」と打ち込んで、最後確定キーを押すのが数秒遅れたのは、私のヴァナディール生活でも十指に入る幸運だったと今でも思っている。
 私が辛辣な感想を述べる寸前に、その仲間は「魔法少女隊アルス」の面白さを怒涛のように語り始めたのだ。その仲間は普段アニメどころかほとんど他のゲームもやらず、エヴァをパチンコが原作だと思い込んでいて他の仲間を怒らせたことがあるくらい、そういった関係に疎い人物だったが、なぜかこの作品だけは視聴して、しかも惚れ込んでいたのである。
 彼もまた、現実世界でこの作品を語り合える友人がいなかったらしく、ようやくわかる人間が現れたとばかり、一話しか見ていない私に向けて延々と話し続けた。慌てた私は翌日早速レンタルビデオ屋で全巻借り出し、ぶっ通しで見る羽目になったのである。


 全話見た結果、上で紹介している番外編(アドベンチャー編)の方がパイロット版に雰囲気が近く、一般受け(というかマニア受けというか……)しそうだな、と思ったのだが、これも不幸なことに、なんと本編放映から3年半後にOVA化されるという時期を逸した展開だったため(契約の関係らしい?)、ほとんど話題になることはなかったようだ。

*1:FF11はチャットしやすいゲームだったから、毎晩長いと数時間も会話していた。ハマっていた頃は、正直現実世界の友人よりヴァナディールの仲間の方がずっとコミュニケーションする時間は長かった計算になる。