ウォーカーで乗り付けます

ゲーマーズ・フィールド 21st Season Vol.2

ゲーマーズ・フィールド 21st Season Vol.2


 昨日の続き。

 私がセキュリティランクの高い場所をクライマックスの舞台として避けがちな最大の理由は、キャストの能力を制限するのがアンフェアだと考えているからである。前にR&Rの記事の紹介で「TRPGにおいて、多くの場合プレイヤーは戦闘場所を自分で選べない」と書いたとおり、プレイヤーはGM(N◎VAならRL)の指定した場所で戦闘を行うことが多いはずだ。もちろん敵ゲスト側は舞台となる場所に適した装備を選択して登場するだろう。その時、キャスト側のアウトフィット(装備)だけを制限するのは、プレイヤーにとってストレスになりかねない。

 これは想像で言っているわけでなく、自分の失敗経験から学んだ結果である。

船のない艦長

 初代のカオスフレアを初めて遊んだ時のこと。“富嶽”の“艦長”というクラスのPCがいた。私はシナリオの「引き」として「宇宙戦艦が破損して不時着したシーン」からセッションを始めた。
 ところが、私はその時点でまだカオスフレアのルールを深く理解しておらず、“富嶽”の“艦長”は「宇宙戦艦」が使えないと、能力が相当制限されるということに気づいていなかった。もちろんクライマックス前には船は修復されていたのだが、セッションが終わった後でプレイヤーから「ぶっちゃけ、かなり辛かった」と吐露されたのである。
 この時脳裏を過ぎったのが、私が心酔する「天羅万象」のルールブックにおいて「ヨロイ狩りの八連斬甲刀と銃槍使いの銃槍はキャラクターの個性なので、壊すな」と書かれていたことだった。天羅に限らず、N◎VAにおいてもカオスフレアにおいても、手持ち装備も含めてキャラクターを造形するプレイヤーは多い。大部分がそうだと言ってもいい。私がコンベンションで出会ったとあるプレイヤーは、セッション中、クライマックスを除く全てのシーン(と舞台裏)を、自分のお気に入りの装備を「製作」することと、それに必要な報酬点を得ることに費やしていた。それくらい、装備に思い入れのあるプレイヤーもいる。それを一方的に制限されたら、プレイヤーとしては気分はよくないだろう。

 もちろん、今回のGFの記事にあるとおり対抗策はあるし、特定のスタイルについては「特に有効な対抗手段」も存在する。対抗手段がある以上、そのような状況に陥っても、対抗策を取らなかったプレイヤーが悪いと言えなくもない。しかしそれも程度問題で、カゼのキャストがセッション中1回もヴィークルに乗れなかったり、アラシのキャストが3回セッション連続でウォーカーの出番がなかったりすれば、それは納得がいかなくても無理はない。

「君たちはレッドエリアの一角に彼らを追い詰めた……」

 とはいえ、程度問題というのは逆にも言えること。私のように、ほとんどセキュリティランクを考慮しないセッションばかりを続けていると、カゼの「ライドオン」やアラシの「スクランブル」、イヌの「携帯許可」のような「装備を持ち込める」という効果を持つ特技がほとんど意味を成さなくなってしまう。これはこれで不公平であり、何回かに1回はホワイトエリアやグリーンエリアを舞台にしたクライマックスも用意しないとな……と思いつつ、適当なアイデアを捻り出すのに困り、ついついまたレッドエリアの廃ビルでドンパチをやらかしてしまうのである。