これは恥ずかしい

米欧日の家庭用ゲームソフト市場は5:4:1の比──なぜ日本のゲームメーカーは世界で戦えなくなったのか【西田宗千佳:新連載】

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 読んで吹き出してしまった。近年稀に見る恥ずかしい記事だ。

最も責められるべきは……

 上のリンク先ではあまり糾弾されていないが、一番責めを負うべきなのは編集部だ。何より、元々ゲームとは畑違いのライターに対し、編集部と話し合った上で書かせた新連載の最初の記事の、冒頭にありかつ中心を担うグラフを、それも二回も間違えるというのは笑えない。これで、連載の内容を真に受ける人間はいなくなっただろう。何しろ、筆者自身が「グラフを示した段階で役割の8割は終わっている」と言っているのだから、それを二回も間違えたというのは、記事の内容の8割が間違っていると自ら吐露するに等しい行為である。
 また、当該記事に限らず、このメディア媒体はまともに査読も校閲もされていない(そして指摘に対してこんなレスポンスを返す)ということも、合わせて暴露されてしまった。

十周遅れくらい

 内容については、太陽神その眷属がカイガイカイガイオウベイオウベイ言ってたのはもう5年以上前の話であり、その彼らですら既に見捨てている市場なので、周回遅れどころではすまない。「議論が新しいとか古いとか、どうでもいい」と反論しているが、古いのは議論ではなく、そこから導き出されるであろう結論部分だ。
 今それを語るのであれば、悲しいかな隣に棲まう巨竜を無視はできないはずだ。「データを用意できなかったから中国については触れてない」と書いた時点で、この記事の価値はほとんどゼロだ。彼らの手法も市場も欧米とはまったく違う。

このままでいいわけない、しかし……

 もちろん、今の日本のゲーム業界がこのままでいいとは、私も思わない。日本のコンシューマ業界は衰退している。そんなことはいちいち言われなくても、発売予定のゲームカレンダーを見れば一目瞭然だ。その点に対する問題意識は、多くのゲーマーが共有している。記事を否定するのは現状を認めたくないからだ、というのであれば、それは論理のすり替えである。
 記事の問題点は現状ではなく、その解決法として「欧米を模倣しろ」という結論を導いていることだ。西田氏の専門分野であるパソコンやデジタル家電ではそれが正しいのかどうか知らないが、少なくともゲーム業界は違う。上の記事でも指摘されているとおり、ゲーム業界においては、欧米も日本と同じ陥穽に嵌まり、抜け出せていない。成功しているのは一部の超大手だけという図式はどちらも同じだ。
 誤ったデータから誤った分析を行い、業界を誤った方向に誘導し、その結果業界が沈んだら、編集部は責任を取れるのか。そこまでの覚悟があって連載を決めたスタッフなら「間違いを指摘された場所でまた間違える」などという恥ずかしいミスはしないのではなかろうか。

余談

 今回、西田氏は自分の署名記事でありながら「任せたとはいえ、やはりきちんと精査すべきであったか」などと発言している。これを真顔で言えること自体ある意味凄いが、この図式、どこかで見たことはないだろうか。
 そう「赤だけかな最悪は」発言をした時のででお氏と同じなのである。

あの原稿を書いたのは俺じゃなくて当時の担当ライターなんですよ。マズイとは思ったんですが、チェックをスルーして記事にしちゃったので、言い訳になりませんけどね。ちなみにβテスト時代の「早くケアルしろよ」発言も他の人が書いています。リアルで俺がボヤいていたのをそのまま原稿にしちゃったようです。


 奇しくも、これもファミ通での出来事だ。2003年から既に15年。どうやら体質はまったく変わっていないらしい。